[記者発表][平成12年度11月]−[2日11時資料配布] 原子力安全対策課
高浜発電所4号機の原子炉起動と調整運転開始について(第12回定期検査)(12−68)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉;定格出力87.0万kW)は、平成12年9月6日から、第12回定期検査を実施していたが、11月5日に原子炉を起動し、翌6日に臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、11月8日頃に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、12月上旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

1. 主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、3台あるポンプのうち、Cポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検した。
(2) 原子炉容器供用期間中検査
 原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器の溶接部等について、超音波による探傷検査を行い、健全性を確認した。
(3) 1次冷却材系統脱気装置設置工事(図−2参照)
 1次冷却材系統における溶存酸素の低減を図り、応力腐食割れに対する環境改善を行なうとともに、1次冷却材脱気操作の短縮を図るため、脱気装置および接続配管を設置した。

2.

蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果(図−3参照)
 蒸気発生器伝熱管全数(10,111本)について、渦流探傷検査を実施した結果、計11本の高温側管板拡管部に、有意な欠陥信号指示が認められた。(A−S/G:4本、B−S/G:1本、C−S/G:6本)
 前回の定期検査でも、同じ部位に欠陥信号が認められており、原因は、製作時に伝熱管を管板部で拡管した際に管内面に生じた残留応力と運転時の内圧が重なり合い、伝熱管内面から応力腐食割れが生じたものと推定され、対策として、当該伝熱管11本は、管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととした。[平成12年10月2日 記者発表済]

3.

燃料集合体の検査結果
 燃料集合体(24体)について、外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 また、燃料集合体全数157体のうち、65体を取り替えた。新たに装荷する燃料集合体のうち56体は、新燃料集合体(高燃焼度燃料集合体)である。

4.

敦賀発電所2号機事故を踏まえた点検(図−4参照)
 高浜発電所4号機の再生熱交換器は、内筒を有する構造であるが、流動模擬試験に基づく応力評価や実機の胴変位測定により敦賀2号機と同様の損傷は発生しないことが確認されている。
 今定期検査においては、以下の点検を実施した。
(1) 再生熱交換器の点検
 中段再生熱交換器(全3台のうちの1台)の抽出水出口配管取付部の熱交換器胴側母材部について、超音波探傷検査を実施し、健全性を確認した。
(2) 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの点検
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例を踏まえ、高温・低温水の合流による温度変動が生じる類似対象箇所(38箇所)を抽出し、健全性を確認した。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性に係る検査充実の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている再生熱交換器から化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管までの範囲(10箇所)について、超音波探傷検査を実施し、健全性を確認した。

5.

次回定期検査の予定
 平成14年冬頃