[記者発表][平成12年度12月]−[22日11時記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の原子炉起動と調整運転開始について(第16回定期検査)(12−87)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉原型炉;定格出力16.5万kW)は、平成12年7月26日から第16回定期検査を実施していたが、12月25日早朝に原子炉を起動し臨界とした後、翌26日昼頃に定期検査の最終段階である調整運転を開始する予定である。
 調整運転開始後は、出力を徐々に上げながらプラント性能の確認を行い、来年1月中旬には国の最終検査を受けて本格運転を再開する予定である。

1. 燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数224体のうち36体を新燃料集合体(うち混合酸化物燃料は22体)に取り替えた。

2.

主要改造工事等
(1) 廃棄物処理設備の変更工事(図−1参照)
 廃棄物処理設備の運転性向上の観点から、廃液移送ポンプと配管を新たに設置するとともに、廃液漏えい防止の観点から液体廃棄物処理設備にあるポンプ(15台)のうち3台をキャンドロータ式(ポンプ軸封部から外部への漏えいを防止するためポンプ本体と駆動用モータを一つの容器に収納したもの)に取り替えた。
 また、廃棄物処理設備の制御盤を更新した。
(2) 蒸気タービン高圧車室補修工事
 蒸気ドレンによる浸食(エロージョン)に対する設備保全の観点から、蒸気タービン高圧内部車室の一部について、耐食性に優れたステンレス鋼にて肉盛補修を実施した。
(3) 原子炉再循環ポンプ供用期間中検査(図−2参照)
 原子炉再循環ポンプの供用期間中検査として、4台あるポンプのうち、A、Cポンプについて、ケーシングボルト締め付け部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検を行い、問題のないことを確認した。
(4) A−原子炉冷却系統の化学除染(図−3参照)
 今定期検査で実施した原子炉再循環ポンプ等の分解点検時の作業員の被ばく低減を図るため、A系統全ての圧力管から燃料集合体を取り出した後に原子炉冷却系統へ除染剤を注入し、機器や配管内表面に付着した60Co等の放射性不純物を溶解・除去した。
(5) 蓄積放射能量の調査(平成10年度計画停止時から継続実施)(図−4参照)
 「ふげん」の廃止措置準備として、構造物に含まれる放射能量を評価するため、原子炉廻りに設置した放射化箔(中性子照射により放射化する金属箔)の一部を回収し、中性子照射量を測定した。また、原子炉格納容器のコンクリート壁や床のサンプリング調査を実施した。

3.

燃料交換機スナウト位置検出器の損傷について
 10月31日、Aループ化学除染時に使用した特殊シールプラグの取替え作業のため、燃料交換機を炉心へ移動中、 燃料交換機の上部先端に取付けられているスナウト位置検出器2個(全8個)が燃料交換機の移動ルート上で垂れ下がっていた作業用ロープと接触し、損傷する事象が発生した。
 対策として、このロープは、使用する時のみ敷設し、通常は撤去することとした。また、損傷した位置検出器の交換等を行い、11月2日、作業を再開した。
 なお、このトラブルによる周辺環境への影響はなかった。[平成12年11月2日 公表済]

4.

次回定期検査等の予定
平成13年度計画停止 平成13年6月
次回定期検査 平成14年冬頃