[記者発表][平成8年度1月]−[31日14時記者発表] 原子力安全対策課
高速増殖原型炉もんじゅ送受電設備の不具合等について(8−98)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 高速増殖原型炉もんじゅ(高速増殖原型炉;定格出力28.0万kW)は、一昨年12月8日に発生した2次主冷却系(C)ナトリウム漏えい事故以降停止中であり、通常、275kVの送電線(敦賀線1号線の敦賀発電所側と美浜発電所側の2回線)より受電を行っている。
 1月21日夕刻からの暴風雪による悪天候により、送電線系統が不安定な状態にあったため、21日23時24分から美浜発電所側送電線1回線で運用していたが、1月22日3時00分に送受電系統の地絡事故により送電線からの所内への電力供給が絶たれ、非常用ディーゼル発電機が起動し、必要な機器に電力を供給した。
 同日3時14分に送受電設備を送電系統に接続し、送電線系統からの受電が復帰し、さらに4時26分敦賀発電所側送電線にも接続したが、5時21分再度美浜発電所側送受電系統で地絡事故があった。この際には敦賀発電所側送電線から受電しており、所内電源には影響がなかったが、これ以降敦賀発電所側送電線1回線で受電した。
 この状態で、6時23分〜6時25分に敦賀発電所側送電線短絡事故で一時送電系統からの受電ができない状態があり、さらに、9時56分送受電系統の地絡事故があり、以降、送電線から所内への電力供給が絶たれ、必要な機器に関しては、非常用ディーゼル発電機により電力を供給した。(平成9年1月22日説明済)

 もんじゅ構内の送電線から受電する装置を点検した結果、碍子氷結およびその影響による地絡の痕跡が認められたため、一部機器(碍子等)を取り替えたほか、遮断器の開閉動作を制御する油圧計の圧力スイッチの設定値に不備があったため、設定値を変更して、1月25日7時9分、敦賀発電所側送電線からの受電を復帰させ、同日23時49分、美浜発電所側送電線も復帰させた。

 送電線短絡事故の原因は暴風雪によるものと推定されているが、送受電系統での地絡事故の原因は、強風による開閉所内の碍子の塩分の付着による影響を防止するため、碍子の洗浄を実施していたが、暴風雪と低温のため洗浄水の氷結が進み、地絡事故に至ったものと推定された。このため、対策として、碍子洗浄の運用を見直し氷結を防止することとした。

 また、その後の調査において、遮断器の一部の保護回路に使用している圧力スイッチの動作設定値について、別の設定値の圧力スイッチからの信号を使用していたため、本来動作すべき保護回路が動作していないことが判明した。保護回路の圧力スイッチの設定値を変更した現状の状態でも、遮断器の保護回路の機能上は問題ないが、次回の送電線停電作業時に正規の設定値をもつ圧力スイッチからの信号を使用した保護回路に変更する計画である。


図−1
図−2