[記者発表][平成8年度2月]−[28日11時記者発表] 原子力安全対策課
高速増殖原型炉もんじゅの平成8・9年度設備点検について(8−105)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 高速増殖原型炉もんじゅ(高速増殖原型炉;定格出力28.0万kW)は、平成7年12月8日に発生した、2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため停止しているが、設備・機器の保安確保のため、毎年計画的に実施している設備点検を平成9年3月3日より約10ヶ月の予定で実施する。

 今回の設備点検では、毎年実施している安全保護系計器等の法定点検、1次および2次主冷却系主循環ポンプの点検、ディーゼル発電機設備の開放点検等に加え、長期的な機器の点検計画に準じ、原子炉容器上部しゃへいプラグの分解点検等も実施する。
 また、設備保全の観点から、制御用圧縮空気設備の防錆対策工事や送受電しゃ断器保護回路の変更工事等を実施するとともに、現在実施している総点検の一環として、1次主冷却系温度計と炉外燃料貯蔵設備系温度計の健全性を確認する。

1. 設備の点検工事
設備 点検内容
計器の法定点検 試験炉規制に基づき、安全保護系や放射線モニタ関係の計器類について、法定の点検校正を実施する。
原子炉構造設備 原子炉容器上部のしゃへいプラグの分解点検として、エラストマシ−ルの交換、旋回機構・油圧機構等の点検を実施する。
併せてフリ−ズシ−ルヒ−タ全数(80本)を保守性向上の観点から端子接続ケ−ブル1体型に交換する。(図1参照)
1次主冷却系設備 1次主循環ポンプ(B)の軸封部のメカニカルシ−ル分解点検を実施する。
2次主冷却系設備 2次主循環ポンプ(A、B)のメカニカルシ−ル分解点検、主モ−タ分解点検等を実施する。また、補助冷却設備の空気冷却器(A)、空気冷却器用送風機(A)の開放点検等を実施する。
1次アルゴンガス系設備 圧縮機の分解点検等を実施する。
原子炉補機冷却水系設備 熱交換器の開放点検等を実施する。
原子炉補機冷却海水系設備 海水ポンプの分解点検、ストレ−ナ開放点検等を実施する。
制御用圧縮空気設備 空気圧縮機の分解点検、空気除湿装置再生空気冷却器の開放点検等を実施する。
放射性廃棄物処理設備 気体廃棄物処理系廃ガス圧縮機等の分解点検と、液体廃棄物処理系ポンプ等の分解点検を実施する。
換気空調設備 中央制御室浄化フィルタユニットの開放点検、蒸気発生器(A、B)排気及び給気ファンの分解点検等を実施する。
ディ−ゼル発電機設備 ディ−ゼル発電機(A、B、C)の分解点検、機関冷却器の開放点検等を実施する。

2.

設備保全等の工事
(1) 制御用圧縮空気設備の防錆対策工事(図2参照)
 昨年の設備点検期間中に発生した制御用圧縮空気設備停止の対策工事として、配管内に発生する凝縮水を低減させるため、ドレンラインの追加設置および配管の一部変更等の防錆対策工事を行う。(平成8年8月2日発表済)
(2) 送受電しゃ断器保護回路の変更工事(図3参照)
 本年1月に発生した特高開閉所設備のしゃ断器動作不良の対策として、しゃ断器の保護回路を正規の設定値をもつ圧力スイッチからの信号を使用するための変更工事を行う。(平成9年1月31日発表済)
(3) 空調用冷水設備の代替フロン化のための設備交換工事(図4参照)
 環境対策(オゾン層保護)のため冷凍機の冷媒として使用しているフロンを代替フロンに変更する。これに伴い、空調用冷水設備の冷凍機(計4台)の一部機器を交換する。
(4) 1次系オーバーフロータンク点検用足場の設置工事
 1次系オーバーフロータンク室内での弁等の設備点検の作業性向上のため、点検用足場を設置する。

3.

総点検の一環として行う点検
(1) 1次主冷却系温度計の健全性確認(図5参照)
 1次主冷却系の温度計(13本/ループ;計39本)について、内面目視点検と超音波探傷検査を実施し、健全性を確認する。
(2) 炉外燃料貯蔵槽冷却系温度計の健全性確認(図6参照)
 炉外燃料貯蔵槽冷却系温度計16本について、内面目視点検と配管との取付溶接部の液体浸透探傷検査を実施し、健全性を確認する。


平成8・9年度設備点検工程
設備保全等工事工程