[記者発表][平成8年度3月]−[7日14時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所4号機の原子炉起動と調整運転開始について(第3回定期検査)(8−108)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所4号機(加圧水型軽水炉;定格出力118.0万kW)は、平成8年9月16日に発電機故障により原子炉が自動停止し、原因調査を実施していたが、9月30日より年度計画に基づき第3回定期検査を開始した。
 その後所要の検査等を実施してきたが、平成9年3月10日昼頃に原子炉を起動し、翌11日未明に臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、3月中旬(3月18〜19日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、4月中旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

調整運転の開始は、タービンバランシング作業の実施の有無により日時が前後する。
タービンバランシング作業 調整運転開始前にタービンの回転数を上昇させて振動を測定し、振動が大きい場合には、タービンの車軸におもりを取り付け、振動が小さくなるように調整する作業。


1. 燃料集合体の検査結果等
(1) 燃料集合体リーフスプリングの損傷
 燃料集合体の外観点検の結果、1体の燃料集合体の上部にあるリーフスプリング(水流による燃料集合体の浮き上がりを押さえつける役目をする金属製バネ:3枚一組)の付け根付近にひび割れが発見された。
 原因は、組立時において、上部と中間部のリーフスプリングの先端部から曲げ部立ち上がりまでの寸法差が小さかったことなどから、上部と中間部のリーフスプリングが干渉した状態で取り付けられたためであり、今後製造するリーフスプリングについては、干渉が起こらないような設計とすることとした。
 なお、当該燃料集合体は再使用しない燃料であり、新燃料と取り替えた。また、製造記録等から上部と中間部リーフスプリングが干渉する可能性のある燃料集合体については、今後、再使用する際に、リーフスプリング曲げ部の外観点検を行い、干渉のないことを確認することとしているが、今回の燃料取替では対象燃料の装荷はなかった。[平成8年11月25日記者発表済]
(2) 燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数193体のうち、77体を取り替えた。取替燃料のうち、72体は新燃料集合体で、このうち8体は55,000MWD/tの高燃焼度先行照射燃料集合体であり、残りの64体は48,000MWD/tの高燃焼度燃料集合体である。

2.

蒸気発生器伝熱管の渦電流探傷検査結果
 蒸気発生器伝熱管全数(13,528本)について、渦電流探傷検査を実施した結果、異常は認められなかった。

3.

主要工事等
(1) 原子炉格納容器の供用期間中検査(図−1参照)
 原子炉格納容器(プレストレスト・コンクリート製格納容器:PCCV)の供用期間中検査として、縦方向緊張ケーブル4本および円周方向緊張ケーブル5本について引張り力を測定し、適切な緊張力が確保されていることを確認した。
(2) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−2参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、4台あるポンプのうち、Dポンプの分解点検(10年に1回)を行い、ポンプケーシング等耐圧部の健全性を確認した。
(3) 原子炉容器頂部温度低減対策工事(図−3参照)
 原子炉容器上部ふた(管台貫通部)の長期的な信頼性の向上を図るため、原子炉容器内に流入した1次冷却材を頂部に導くスプレイノズルの内径を大きくし、原子炉容器頂部への1次冷却材の流入量を増加させることによって、頂部温度の低減を図った。
(4) 発電機点検・復旧工事(図−4参照)
 昨年9月16日に発電機故障により原子炉自動停止したが、調査の結果、固定子巻線等、損傷が認められたものについては、新品と取り替えた。なお、発電機故障の原因は、位相リングと位相リング支えとの固定が不十分であったためと推定されたことから、取替にあたっては、位相リングと位相リング支えとの間に隙間が生じないよう製作管理を徹底するとともに、念のため、支持部材を追加することなどによって振動の抑制を図った。[平成8年11月29日記者発表済]

4.

次回定期検査の予定
 平成10年 春頃