[記者発表][平成8年度3月]−[11日15時30分記者発表] 原子力安全対策課
美浜発電所2号機の定期検査状況について(キャノピーシール部の点検結果)(8−110)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 美浜発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力50.0万kW)は、平成9年2月2日から第16回定期検査を実施しているが、美浜3号機等でのキャノピーシール部からの漏えい事例に鑑み、制御棒駆動装置ハウジング等のキャノピーシール部全数(上部29ヶ所、中間部33ヶ所、下部40ヶ所、合計102ヶ所)の点検を行った。

1. 渦電流探傷検査結果
 上部キャノピーシール部3ヶ所と下部キャノピーシール部10ヶ所に信号指示が認められた。なお、外観観察の結果では、漏えいの痕跡は認められなかった。

2.

詳細点検結果
 信号指示の認められたキャノピーシール部のうち、上部と下部キャノピーシール部1ヶ所ずつについて詳細点検を実施した結果、キャノピーシール部表面に割れ等は認められず、深さ方向に約1mm切削した後の点検で割れが認められた。
 割れはキャノピーシールの溶接金属部近傍で、溶接金属部と交差する方向に発生しており、上部キャノピーシール部で長さ約0.4mm、下部キャノピーシール部で約0.4mmと約0.1mmであった。割れの形態はいずれも粒内割れの特徴が観察された。

3.

原因の推定
 過去の事例や詳細点検等から、
当該ハウジングの組立段階において塩素が残留し、キャノピーシール内には建設当初に塩素を含む水が存在していたと推定されること。
プラント建設時の試験運転でプラントを起動する際、キャノピーシール内の一次冷却水中の酸素濃度は一時的に高くなる水質環境(腐食環境)にあったと推定されること。
 これらのことから、キャノピーシールの内面から塩素を主因とした応力腐食割れ(粒内割れ)が発生したものと推定された。

4.

対策
 上部キャノピーシール部(3ヶ所)については、ハウジングのキャップを取り替え、キャノピーシールを溶接復旧する。
 下部キャノピーシール部(10ヶ所)については、信号指示の認められた部位を切削削除し補修溶接した上で、キャノピーシール全周の肉盛溶接を行う。

5.

今後の予定
 当初、調整運転開始は平成9年4月上旬頃の予定であったが、当該部の補修を行うことにより約1ヶ月程度延びる見込みである。


図−1 美浜2号機 キャノピーシール部のECT信号指示部の点検状況について
図−2 美浜2号機ECT信号指示部の補修方法について