[記者発表][平成8年度4月]−[8日16時資料配布] 原子力安全対策課
高速増殖原型炉もんじゅの2次系ナトリウム漏洩事故の調査について(今後の作業工程について)(8−5)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。


1. 温度計ウェル部の破断原因調査(類似温度計調査を含む)

 中間熱交換器(C)2次側入口温度計ウェル部については、配管から切り出し、動燃事業団大洗工学センターにて詳細調査を実施しているが、現在までのところ、もんじゅ建設所での調査結果と同様な結果は確認されたが、明確な欠陥は発見されていないため、引き続き調査を実施している。
 Cループ2次側の他の温度計全14個について、温度計を抜き取り、ウェル部内面のCCDカメラ観察と段付き部超音波探傷検査等を行っているが、これまで調査した主冷却系に設置している8個では異常は認められておらず、今後補助冷却系(6個)の調査を行う予定である。
 なお、2次主冷却系温度計調査の一環として、2次主冷却系(C)過熱器出入口温度計2個を切り出し調査を行うため、4月10日から諸準備を開始する予定である。


2.

ロストパーツ(ウェル細管部)回収調査

 漏えい原因となった中間熱交換器(C)2次側出口温度計ウェル段付き部より先端の細管部(ロストパーツ)については、過熱器(C)のベント配管を切断し、過熱器分配器(ディストリビュータ)内部のCCDカメラによる探索調査を実施していたが、3月28日、過熱器リングヘッダへの入口配管(北側)を基点として時計回りに150°の位置の分配器内で温度計ウェル細管部を発見した。
 今後、4月18日頃、当該分配器へつながる分配管を切断し、4月下旬頃分配管内に簡易な回収装置を挿入し、温度計ウェル細管部の状態確認を行うとともに回収を試みる(ステップ1)予定である。
 ウェル細管部については、回収された後は、電子顕微鏡による破面調査等の詳細調査を実施する予定である。


3.

漏えいナトリウムの機器等への影響調査

 漏えいナトリウムの機器等への影響調査として、床ライナーの一部(ナトリウム堆積物が固まっていた箇所とそれ以外の箇所)および原子炉補助建物の側壁コンクリート(配管室内外)の試料を採取し、金属材料技術研究所、外部機関等にて詳細調査を実施しているが、今後床ライナー試料採取部直下の床コンクリートについても試料採取を行い、調査を実施する予定である。
 機器の点検・清掃作業として、4月10日頃から空気冷却器、換気空調系ダクト等を対象として作業を開始する予定である。


2次冷却系ナトリウム漏えい事故原因調査作業の現況
項目 概要
1. 漏えい温度計部調査
2月13日以降、日本原子力研究所及び金属材料技術研究所で詳細調査を実施している。
破断部を除いた部分については、動燃に返却され、2月27日より大洗工学センターにおいて溶接部等の調査を行っている。
2. その他2次系温度計調査
2次系CループIHX入口温度計の切り出しを3月15日に行い、動燃大洗工学センターにおいて超音波探傷検査等の調査の結果、もんじゅサイトでの調査時と同様な結果は得られたものの、表面に亀裂は確認されなかったため、さらに詳細調査を継続している。
Cループのその他の温度計のうち主冷却系の8個について、3月27日から31日にかけてX線撮影、超音波探傷検査等を行って異常のないことを確認した。今後、補助冷却系の温度計6個について、4月15日頃から同様の確認を実施する予定である。また、4月10日から主冷却系の温度計2個(過熱器出入口温度計)を切り出すための準備・諸手続を開始する予定である。
3. 設備健全性確認強化
2次系Bループに引き続いて、Aループの温度計全数16個にシール強化(スウェジロック)を実施し、3月19日にAループのナトリウム充填を完了した。
また、2次系Cループ各部屋の火災報知器の点検を4月11日頃から実施する予定である。
4. ロストパーツ探索
3月25日から過熱器分配器(ディストリビュータ)内部のCCDカメラによる探索を実施していたが、28日、過熱器リングヘッダへの入口配管(北側)を基点として時計回りに150°の位置の分配器内で温度計ウェル細管部を発見した。
今後、4月18日頃から当該分配器へつながる分配管を切断し、回収準備を行った後、4月下旬頃状態の確認を行うとともに回収を試みる予定である。
5. 漏えいナトリウムの機器・設備への影響調査
床ライナについては、3月19日の1回目のサンプル切り出しに続いて、29、30日にリットを含め2回目の切り出しを行い、現在外部機関で詳細調査を実施している。
また、原子炉補助建物壁コンクリートのサンプリングを3月7日に行い、現在外部機関で詳細調査を実施している。さらに、床ライナ直下のコンクリートのサンプリングを4月10日から予定している。
6. 機器等影響調査及び清掃
各部屋の機器、盤外面及びエリアの清掃・点検並びに機器及び盤内部清掃・点検を順次実施している。3月31日現在の進捗率は約57%である。
4月10日から、機器の点検・清掃として、空気冷却器、空調ダクト等の点検・清掃を予定している。


図1−1 2次主冷却系ナトリウム漏えい事故原因調査工程
図1−2 2次主冷却系ナトリウム漏えい事故原因調査工程
図2−1 ロストパーツ回収作業概要
図2−2 ロストパーツ回収作業概要
2次主冷却系温度計切り出し調査
床ライナー・壁・床コンクリート調査箇所概要