[記者発表][平成8年度4月]−[18日13時記者発表] 原子力安全対策課
平成8年度原子力発電所の運転・建設計画について(8−7)

 安全協定に基づき、各施設設置者から連絡された平成8年度の運転・建設計画は、以下のとおりである。

1. 運転計画の概要(図−1参照)
(1)

平成8年度県内原子力発電所(建設中の高速増殖原型炉もんじゅを除く)14基の平均の時間稼働率は79%、設備利用率は76%である。

(2) 蒸気発生器取替工事については、高浜発電所1号機が前年度から継続して実施され、新たに美浜発電所3号機および大飯発電所2号機で開始される。
また、原子炉容器上部ふた取替工事については、高浜発電所1号機が前年度から継続して実施され、新たに美浜発電所3号機および高浜発電所2号機で開始される。

2.

建設計画の概要
 平成8年度の高速増殖原型炉もんじゅの起動試験工程は、平成7年12月8日に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため未定である。
 なお、3月18日から実施している設備点検は7月下旬までの予定で実施される。

3.

実証試験の概要

 平成8年度の実証試験計画は、平成2年度より継続実施している「新型転換炉ふげん発電所の照射用ガドリニア燃料集合体の照射」と、本年度から実施する「大飯発電所4号機の高燃焼度燃料の先行照射」である。


表−1 平成8年度実証試験計画
発電所名 試験項目 概要
新型転換炉
ふげん発電所
照射用ガドリニア燃料集合体の照射  高燃焼度対応のガドリニア入り照射用燃料集合体6体を照射する。(平成2年6月〜平成9年1月)[5体は既に取出し済]
大飯発電所
4号機
高燃焼度燃料の先行照射 高燃焼度燃料(55,000MWd/t)の実用化に先立ち先行照射する。(平成8年11月〜平成13年度)

4.

原子炉設置変更許可申請計画

 平成8年度の原子炉等規制法に基づく「原子炉設置変更許可申請」の計画は、敦賀発電所、美浜発電所および大飯発電所で次の内容が計画されている。


表−2 平成8年度原子炉設置変更許可申請
発電所名 申請概要
敦賀発電所
雑固体廃棄物の減容安定化処理を行う設備(プラズマ溶融による処理設備)を設置する。
美浜発電所
1、2号炉の原子炉容器上部ふた取替え(出力調整用制御棒クラスタ駆動装置の撤去)
1、3号炉用蒸気発生器保管庫の1〜3号炉共用化(原子炉容器上部ふたの保管)
大飯発電所
1、2号炉の原子炉容器上部ふた取替え(出力調整用制御棒クラスタ駆動装置の撤去)
蒸気発生器保管庫の1、2号炉共用化(原子炉容器上部ふた等の保管)
雑固体廃棄物の固型化処理の採用(モルタル充てん装置の設置)

5.

主要設備の増・改造工事計画の概要(表−3参照)
(1) 日本原子力発電(株)

 敦賀発電所1号機において、水素注入装置、原子炉自動停止用地震計の設置工事が行われる他、1、2号機の廃棄物処理設備の設置等工事が計画されている。(一部工事は7年度から実施中)
 また、今庄町にモニタリングステーション1局設置する。

(2) 動力炉・核燃料開発事業団

 新型転換炉ふげん発電所において、原子炉自動停止用地震計(上下方向)の設置工事が計画されている。
 また、越前町にモニタリングステーション1局設置する。

(3) 関西電力(株)美浜、大飯、高浜発電所

 蒸気発生器取替工事および原子炉容器上部ふた取替工事(6に記載)の他、美浜発電所および高浜発電所で廃樹脂処理装置の設置等の廃棄物処理設備の設置等工事が計画されている(一部実施中)。


6.

蒸気発生器および原子炉容器上部ふた取替工事計画の概要
(1) 蒸気発生器取替工事計画(図−2図−3図−4参照)

 高浜発電所1号機において前年度から継続して実施され、新たに美浜発電所3号機および大飯発電所2号機で開始される。

(2) 原子炉容器上部ふた取替工事

 高浜発電所1号機において前年度から継続して実施され、新たに美浜発電所3号機および高浜発電所2号機で実施される。


7.

燃料輸送計画の概要(表−4表−5参照)
(1)

新燃料集合体については、県内の11プラントにおいて、合計628体の輸送が計画されている(一部実施済)。

(2)

使用済燃料集合体については、県内の2プラントにおいて、合計104体の輸送が計画されている。


8.


低レベル放射性固体廃棄物輸送計画の概要(表−6参照)

 敦賀発電所、大飯発電所および高浜発電所において、合計5,440本の低レベル放射性固体廃棄物を、日本原燃株式会社六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターへ輸送する計画である。


表−3 平成8年度主要設備の増・改造工事
(1) 日本原子力発電株式会社

工事件名 敦賀 工事概要
1号機 2号機
水素注入装置設置工事 応力腐食割れ発生の予防保全のため、水素注入装置を設置する。
原子炉自動停止用
地震計設置工事
1号機原子炉建屋最地下階に水平および上下方向の原子炉自動停止用地震計を設置する。
使用済樹脂貯蔵タンク
増設工事
使用済樹脂を区分し、貯蔵能力の増加を図るため、使用済樹脂貯蔵タンクを1基増設する。
復水脱塩装置使用済
樹脂受タンク設置工事
使用済樹脂貯蔵タンクの増設に併せ、使用済樹脂の貯蔵方法を見直し、復水脱塩装置使用済樹脂受タンクを1基設置する。
放射性廃棄物処理施設
整備工事
1号機放射性廃棄物処理施設のうち、設備保守点検の合理化等を目的として、現在使用していない設備等を撤去する(〜H13)。
液体廃棄物処理設備
改造工事

(共用)
フロン対策のため2号機の洗濯設備をドライクリーニング方式から水洗方式へ変更する。これに伴い洗濯廃液処理系等を改造し、1、2号機共用化する。
今庄モニタリングステーション
設置工事
今庄町にモニタリングステーションを1局設置する。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
工事計画あり 実施済
(2) 動力炉・核燃料開発事業団

工事件名 ふげん もんじゅ 工事概要
原子炉自動停止用
地震計設置工事
原子炉補助建屋地下2階に上下方向の原子炉自動停止用地震計を設置する。
越前モニタリングステーション
設置工事
越前町にモニタリングステーションを1局設置する。
<凡例> 今年度予定工事
(3) 関西電力株式会社

工事件名 美浜発電所 大飯発電所 高浜発電所 工事概要
1号機 2号機 3号機 1号機 2号機 3号機 4号機 1号機 2号機 3号機 4号機
蒸気発生器取替工事 蒸気発生器を、伝熱管損傷防止対策を施した最新型に取り替える。
蒸気発生器保管庫
設置工事

3号機と
共用

1号機と
共用
蒸気発生器取替後の保管用として、蒸気発生器保管庫を設置する。
原子炉容器上部ふた
取替工事
長期的な設備信頼性維持の観点から、管台材質等を改良したものに取り替える。
原子炉容器頂部温度
低減対策工事
長期的な設備信頼性維持の観点から、炉心バイパス流量を増加し、原子炉容器頂部温度の低減を図る。
原子炉水位計
設置工事
事故時の炉心冷却状態を監視するパラメータの多様化のため設置する。
低圧タービンロータ
取替工事
(1台)
(2台)
一体型ロータに取り替え、応力腐食割れに対する信頼性向上を図る。
一次冷却材ポンプ
シール部改造工事
信頼性向上と作業性合理化のため、シール部のカートリッジ化を行う。
全量復水処理建屋
設置工事

(当初より)

(当初より)

(当初より)

(当初より)
蒸気発生器伝熱管の腐食防止のため、復水全量を処理可能な装置を設置する。
廃樹脂処理装置
設置工事

(共用)

(共用)

(共用)
廃樹脂貯蔵タンクに貯蔵保管している使用済イオン交換樹脂から放射能を分離する固体処理装置を設置する。
雑固体処理装置
設置工事

(共用)

(共用)
雑固体廃棄物(金属、フィルター等の不燃物)を固型化処理する装置を設置する。
廃樹脂処理建屋
設置工事
(共用)
雑固体処理設備も収容:
第2固体廃棄物処理建屋

(共用)
廃樹脂処理装置(および雑固体処理設備)を収容する処理建屋を設置する。
洗浄排水処理装置
設置工事

(共用)
洗浄排水中の放射性物質の放出量を低減するため、ろ過装置を設置する。
廃液蒸発装置
共用化等工事

(共用化および
一部撤去・取替)

(共用化および
一部取替)
運用の効率化を図るため共用化するとともに、処理能力を向上させる。
野外モニタ設備
取替工事
信頼性、保守性向上のため。
特高開閉所の
改造工事
電源系統信頼性向上のため、275kV設備を介さず500kV設備につなぎ換え、不要設備を撤去する。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
工事計画あり 実施済
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表−4 平成8年度新燃料集合体輸送計画
発電所 輸送体数 輸送時期 備考
敦賀発電所1号機 48 第1四半期  
敦賀発電所2号機 32 第3四半期  
28 第3四半期  
12 第3四半期  
新型転換炉
ふげん発電所
18 平成8年4月5日 MOX燃料(搬入済)
24 第3四半期  
20 第3四半期 MOX燃料
18 第4四半期  
美浜発電所1号機 12 第1四半期  
美浜発電所2号機 36 第3四半期  
大飯発電所1号機 20 平成8年4月11日 (搬入済)
38 第1四半期  
22 第2四半期  
大飯発電所2号機 40 平成8年4月2日 (搬入済)
16 平成8年4月11日 (搬入済)
大飯発電所3号機 72 第3四半期  
大飯発電所4号機 44 第2四半期  
32 第2四半期  
高浜発電所2号機 40 第3四半期  
高浜発電所4号機 56 第2四半期  
輸送体数、時期は変更することがある。
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表−5 平成8年度使用済燃料集合体輸送計画
発電所名 輸送体数 燃料種類 目的 輸送完了時期
新型転換炉
ふげん発電所
34 MOX燃料 再処理 第1四半期
34 MOX燃料 再処理 第2四半期
高浜発電所2号機 36 ウラン燃料 再処理 第4四半期
輸送体数、時期は変更することがある。
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表−6 平成8年度低レベル放射性固体廃棄物搬出計画
発電所名 輸送本数 輸送時期
敦賀発電所 320 平成8年6月
大飯発電所 1,280 平成8年5月
高浜発電所 1,920 平成8年5月
1,920 平成8年11月
輸送本数、時期は変更することがある。
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