[記者発表][平成8年度5月]−[23日16時記者発表] 原子力安全対策課
科学技術庁の「もんじゅナトリウム漏えい事故の報告について」(知事談話)(8−15)

1. 科学技術庁は、本日、もんじゅナトリウム漏えい事故について、事故の原因となった温度計の破損原因の究明についての見通しが立ち、他の調査項目についても相当程度明らかになったことから、これまでの調査検討の結果、科学技術庁としての反省すべき点ならびに事故の教訓を踏まえた対応等をとりまとめ、公表した。

1.


今回の事故の原因やナトリウムの影響については、基本的な点はほぼ判明したが、その詳細は今後の調査によるところがまだ残っており、今回の原因や影響に対するとりまとめは中間的なものと考える。引き続き、詳細な調査に全力を挙げて取り組むことが必要である。


1.


ナトリウム漏えいの原因は、温度計さや管の設計の問題であるとされており、ナトリウムを取扱う系統で設計時に十分な評価が行われなかったことは極めて重大である。


1.


報告書では、「もんじゅ」の安全性の総点検を行うこととされているが、周辺機器を含む設備やシステムについて、設計段階に遡り、あらゆる角度からの総点検が徹底的に実施され、改めて「もんじゅ」全体の安全を再確認すべきである。
その際、諸外国における漏えい事故等のトラブルの経験を踏まえてとられた対策等を詳細に調査分析し、その成果を適切に反映させるべきである。


1.

事故の教訓を踏まえた対応等については、基本的な方向性が示されているが、具体的な対応策等については今後検討していくことになっているものが多く、さらなる検討が必要である。
また、今後も調査は継続されること、原子力安全委員会での調査・検討も行われていることから、それらの結果を踏まえた教訓等も積極的に取り入れていくことが是非必要である。

1.


報告書では、科学技術庁の反省が述べられており、今回の事故を真摯に受け止めたものと考える。今後、これらを踏まえた対応が具体的、積極的に進められることを期待する。


1.


今回の報告書では、これまでの調査により得られた各種データを含む詳細な調査結果が公開されていないが、今後の調査を含め詳細な調査結果の公開は、信頼回復の上での基本的事項である。


1.


県民、国民の信頼を得ていく上には、国における情報公開への積極的な取り組み、ならびに動燃事業団の情報公開に対する意識改革や開かれた業務執行体制の確立が図られることが必要である。このためにも、今回の事故時の対外対応を含む情報公開に一層努める必要がある。


1.


福島、新潟の知事とともに提言した「原子力についての国民的合意」については、既に開始されている「原子力政策円卓会議」やシンポジウム等の開催により、合意形成に向けた努力を一層強化するとされており、今後とも積極的、継続的な取り組みが行われることを期待する。


1.


県としては、今後とも、県民の立場に立って、国の明確な責任のもと、国や事業団において徹底的な原因究明や影響評価がどのように行われるかを十分見極めながら、毅然とした対応を図ってまいりたい。