[記者発表][平成8年度8月]−[2日13時資料配付] 原子力安全対策課
高浜発電所1号機の営業運転再開について(第16回定期検査)(8−35)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、本年1月6日から第16回定期検査を実施し、7月9日から定期検査の最終段階である調整運転に入っていたが、本日夕刻、通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。
 なお、定格出力にて調整運転中の7月14日19時49分頃、6A高圧給水加熱器水位制御弁の不調に伴い、1%未満の出力変動があったが、同日20時5分頃、定格出力に復帰した。(別紙参照)


(別紙)

平成8年度安全協定に基づく軽微な異常事象報告
件名 高浜1号機 6A−高圧給水加熱器水位制御弁不調による出力変動
発生日時 平成 8年 7月 14日 19時 49分 (出力変動)
終結日時 平成 7年 7月 15日 2時 00分 (復旧完了)
故障箇所 6A−高圧給水加熱器
放射能による周辺環境への影響 なし
国の取り扱い 法律・通達に基づく報告対象外
事象概要
 高浜発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、定格出力にて調整運転中の7月14日19時49分頃、6A−高圧給水加熱器の水位制御弁の常用弁が全閉となり、通常閉状態にある非常用弁が開状態になった。このため、ドレンの回収先が脱気器から復水器へ切り替わり、2次系の熱効率が若干低下したため、電気出力が約82.0万kWに低下した。その後、制御棒操作を行い、同日20時5分頃、定格出力に復帰させた。
 原因は、常用弁の開度を調整する制御用空気の配管がブースタリレー出口接続部で破断していたため、当該弁が閉止したものと判明した。当該配管を新品に取り替え、異常がないことを確認した後、15日2時に当該の常用弁を復旧した。なお、今回の事象による環境への放射能の影響はなかった。
 配管の破断原因は、ブースタリレー動作時の振動により当該配管が共振し、ブースターリレーと配管で疲労損傷したものと推定された。
 対策として、当該部については、取り替えた空気配管が共振していないことを確認するとともに、ブースタリレーを振動の小さいものと取り替えた。また、同型のブースタリレー使用箇所の振動調査を行い、問題のないことを確認した。


<参考>

[高圧給水加熱器]

 給水ポンプから蒸気発生器へ送られる2次冷却水を、タービンから抽出される蒸気の一部で予熱する機器で、高浜1号機においては2系統ある。通常、高圧給水加熱器内の水位は水位制御弁(常用弁)で制御され、ドレン(排出)水は脱気器に回収されるが、常用弁で水位制御が追いつかない場合には非常用弁が動作し、非常用弁によるドレン水は復水器に回収される。


[脱気器]

 高圧給水加熱器から排出された熱水により、2次冷却水中の非凝縮ガスを若干の蒸気とともに大気に排出するとともに、2次冷却水の予熱を行うタンク。


[ブースタリレー]

 送られてきた空気圧力による信号(当該部の場合は高圧給水加熱器の水位を制御する信号)を、実際に制御弁を駆動できる大きさの空気圧力に変換する装置。

元の位置へ▲