[記者発表][平成8年度8月]−[2日13時記者発表] 原子力安全対策課
高速増殖原型炉もんじゅの平成7年度設備点検の終了について(8−36)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 高速増殖原型炉もんじゅ(高速増殖原型炉;定格出力28.0万kW)は、昨年12月8日に発生した、2次主冷却系ナトリウム漏えい事故の原因調査、影響調査等の作業と並行して、本年3月18日から平成7年度の設備点検として、もんじゅ設備・機器の保安確保のための点検を行っていたが、この点検作業を8月4日に終了する予定である。
 今回の点検では、安全保護系計器等の点検を実施する他、1次および2次主冷却系主循環ポンプの点検、ディーゼル発電機設備の開放点検等を実施し、特に、異常のないことを確認した。
 なお、設備点検期間中に、制御用圧縮空気設備(全2台)のうちの1台で、当該設備の運転を制御している電磁弁において錆等の異物による動作不良が発生したため、電磁弁に接続されている制御用配管を炭素鋼からステンレス鋼に取り替えるとともに、電磁弁を錆等の影響が受けにくい型式のものに交換する工事を追加して実施した。

平成7年度設備点検結果
設備 点検内容
計器の点検・校正 安全保護系や放射線モニタ関係の計器類について、試験炉規則に準じて点検・校正を行い、設定値等に問題のないことを確認した。
1次主冷却系設備 1次主循環ポンプ(A)の軸シール部品の交換を実施した。交換後ポンプを運転して性能のチェックを行い、問題のないことを確認した。
2次主冷却系設備 2次主循環ポンプ(A)、(B)の軸シール部品の交換を実施した。交換後ポンプを運転して性能のチェックを行い、問題のないことを確認した。
また、Aループの蒸発器出口、入口止め弁の駆動装置の分解点検を行い、弁の駆動に問題のないことを確認した。
1次アルゴンガス系設備 圧縮機(A)、(B)の分解点検、Oリング等の消耗部品の交換を実施した。点検後圧縮機を運転して性能のチェックを行い、問題のないことを確認した。
また、前置、後置フィルタ(A)、(B)を開放し、点検・清掃を行い、問題のないことを確認した。
原子炉補機冷却水系設備 熱交換器(A)、(B)、(C1)、(C2)を開放し、水室と伝熱管の点検・清掃およびOリング等の消耗部品の交換を行い、問題のないことを確認した。
原子炉補機冷却海水系設備 海水ポンプ(A)、(C1)の分解点検及び消耗部品の交換を実施した。点検後ポンプを運転して性能のチェックを行い、問題のないことを確認した。
また、海水ストレーナ(A)、(B)、(C)を開放し、点検・清掃を行い、問題のないことを確認した。
圧縮空気設備 制御用圧縮空気設備の圧縮機(A)、(B)の分解点検及び消耗部品の交換を実施した。点検後圧縮機を運転して性能のチェックを行い、問題のないことを確認したが、その後圧縮機(A)が電磁弁の動作不良のため停止する不具合が発生したため、配管及び電磁弁の防錆対策を追加して実施し、運転状態に異常のないことを確認した。
設備点検期間中の6月28日、2台ある圧縮機のうち、圧縮機(A)が「空気貯槽圧力高」の信号により停止した。この時、圧縮機(B)は点検中であったことから、所内用圧縮空気設備から系統への圧縮空気供給を行った。
原因は、圧縮機の運転状態(圧縮/非圧縮)を制御している電磁弁の動作不良と判断されたため、当該電磁弁を予備品と取り替え復旧した。
その後、電磁弁の詳細調査で可動部に錆等の異物による摺動痕が認められ、また7月8日、14日にも不具合が再発したことから防錆対策として、制御用空気圧縮機と所内用空気圧縮機の電磁弁に接続されている制御用配管を炭素鋼からステンレス鋼への取り替えと、電磁弁を錆等の影響が受けにくい型式のものに交換する工事を追加して行うことにした。
放射性廃棄物処理設備 気体廃棄物処理系の廃ガス圧縮機(B)、再生ガスブロア(B)の分解点検及び消耗部品の交換を実施した。点検後各機器を運転して性能のチェックを行い、問題のないことを確認した。
また、固体廃棄物貯蔵プールのろ過器の開放点検を行い、問題のないことを確認した。
ディーゼル発電機設備 ディーゼル発電機の電気試験(絶縁抵抗測定等)を行い、問題のないことを確認した。
また、機関冷却器(A)、(B)、(C)を開放し、過電流探傷検査(ECT)等を行ったところ、12基の冷却器のうち3基の冷却器の伝熱管の一部に減肉が認められたため施栓を行った。


平成7年度設備点検工程(実績)