[記者発表][平成8年度9月]−[20日資料配付] 原子力安全対策課
高速増殖炉もんじゅ2次系ナトリウム漏えい事故に関する調査審議の状況−原子力安全委員会の報告書−について(知事談話)(8−51)

1. 原子力安全委員会は、高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏洩事故に関して、原子炉安全専門審査会研究開発用炉部会に、「高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えいワーキンググループ」(以下、「ワーキンググループ」という。)を設置し、行政庁等の報告を聴取しつつ独自の立場から調査審議を行っているが、ワーキンググループが現在までの調査審議状況を取りまとめ作成した報告書(以下、「報告書」という。)について、本日、これを妥当なものとして了承した。

2.


今回の報告書は、現在までの調査審議の結果を取りまとめたものであり、再発防止対策や改善策などを含め、今後さらに調査審議が深められ、最終的な結果は後日改めて報告されるものであるとのことである。


3.


報告書では、『もんじゅ設置許可時の安全審査について検討し、建物内圧の評価に関しては妥当と判断しているが、床ライナの局所的な温度上昇に関連して、設置許可時の知見および設置許可以降得られた新しい知見等を考慮して、もんじゅの建物、構築物の健全性を系統的に確認する必要がある。研究開発段階の原子力施設の安全確保の方策について、安全審査等の規制のあり方を含め、今後さらに検討する必要がある。
事故時のみならず平常時から、情報を的確に取り扱うことは極めて重要なことである。』などと指摘している。


4.


また、原子力安全委員長は、『原子力安全行政の大前提は、国民の信頼であり、地元の住民をはじめ国民に大きな不安感と不信感を与えたことは、極めて遺憾である。事故の背景の一つとして、動燃では、安全の確保に最大限の努力を払いつつ新しい技術へ挑戦して行くという意識が希薄ではなかったかと考えられる。動燃に対し安全確保への高い意識を維持させるうえで、原子力安全委員会が十分、責任を果たしたとは言い切れない。また、安全確保の方策や異常時の情報について、原子力安全委員会としてもこれまでの努力が必ずしも十分ではなかった。原子力安全委員会は、これらの点を率直に反省して今後の施策に誤りなきを期する決意である。』という談話を発表した。


5.


県としては、国や動燃に対して、もんじゅの事故については、原因を徹底的に究明することはもとより、時間と労力を惜しむことなく、想定事故の考え方を含め、設計思想や安全審査のあり方にまで遡って、その基本的な考え方、方法、内容等についても徹底的な調査検討を行い、その結果も踏まえてあらゆる角度から設備やシステムを総点検し、改めてもんじゅ全体の安全性を確認するよう要請しているところであるが、国や動燃においては、今回の報告書の調査審議の結果や指摘事項、さらには原子力安全委員長談話にある反省と決意を十分踏まえ、県民、国民の理解や支持が得られるよう、さらに徹底的な調査審議をすべきであると考える。


6.

今回の報告については、県原子力環境安全管理協議会において、原子力安全委員会から説明を受け確認する考えである。

7.


今後とも、県民の立場に立って、安全で安心できる県民の生活を守るため、原子力発電所の安全確保を最優先に的確に対応していく考えである。