[記者発表][平成8年度10月]−[4日11時記者発表] 原子力安全対策課
高速増殖原型炉もんじゅの2次主冷却系(A)主循環ポンプポニーモータの不具合の原因と対策について(8−56)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 高速増殖原型炉もんじゅ(高速増殖原型炉;定格出力28.0万kW)は、昨年12月8日に発生した2次主冷却系(C)ナトリウム漏えい事故以降、3系統(ループ)ある1次、2次主冷却系のうちC系統を停止し、A、B2系統でポニーモータを運転し、原子炉の冷却を行っている。
 本年8月上旬に、2次主冷却系(A)主循環ポンプポニーモータのケーシング(外枠)温度が、高い傾向にあることが判明したため、8月26日当該ポニーモータの運転を停止し、点検・調査を行ってきた。
 なお、当該ポニーモータ停止後はメンテナンス冷却系を運転し、B系統のポニーモータ運転とともに原子炉の冷却を行っている。

 点検の結果、当該ポニーモータ内部に潤滑油が認められ、また、モータ軸のオイルシール接触部の表面に、製作加工によるリード(ネジ目)が生じていた。停止中の2次系(C)ポニーモータについても、当該ポニーモータと比較して不鮮明ではあるが、軸表面にリードが生じており少量の潤滑油が認められた。

 当該ポニーモータのケーシング温度が高かった原因は、駆動装置内の減速ギヤの回転により攪拌された潤滑油が、通常はモータ軸下部のオイルシール部でモータ側への浸入を防止しているが、軸表面のリード(ネジ目)に沿ってオイルシール部を通過してモータ内に徐々に溜まり、モータ内の攪拌により発熱したためと判明した。
 このため、モータ軸表面にリードが生じない加工方法の改善(研磨仕上げの改善)を図るとともに、拡大鏡による表面検査を追加することとした。当該ポニーモータは新しいものと取り替え、2次系(B)ポニーモータについては、モータ軸の取り替えを行う。なお、減速ギア回転による潤滑油攪拌の影響を低減するため、オイルシール部での隙間を小さくするとともに、モータに油浸入をチェックする確認用点検口を設置する。

もんじゅ冷却系統図
2次主循環ポンプ構造図
ポニーモータ駆動装置