[記者発表][平成8年度11月]−[25日16時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所4号機の燃料集合体リーフスプリング損傷の原因と対策について(8−74)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所4号機(加圧水型軽水炉;定格出力118.0万kW)は、9月30日より第3回定期検査を実施しているが、10月6日からの燃料集合体の外観点検の結果、1体の燃料集合体の上部にあるリーフスプリング(水流による燃料集合体の浮き上がりを押さえつける役目をする金属製バネ)の付け根付近にひび割れが発見された。
 なお、環境への放射能の影響はなかった。[平成8年10月9日発表済]

1. 調査結果
(1) 3枚1組で構成されるリーフスプリングのうち、2枚(中間部および下部リーフスプリング)の上面の曲げ部付近にひび割れ(応力腐食割れ)が認められた。
(2)

リーフスプリングの材料および各部の寸法はすべて設計範囲内であったが、各リーフスプリング間に干渉あとが認められた。


2.

推定原因
(1)

当該の上部リーフスプリングと中間部リーフスプリングの先端部(ネジ部側)から曲げ部立ち上がりまでの寸法差が小さかったことに加え、上部リーフスプリングレッグ部と上部ノズルのスロット穴の間隔が小さく動きにくかったことから、組立時において、上部リーフスプリングがずれて中間部リーフスプリングを押さえ込む状態(干渉状態)で取り付けられた。

(2) このため、運転中に、中間部リーフスプリング曲げ部に通常より高い応力がかかり、応力腐食割れによるひび割れが生じた。
(3)

下部リーフスプリングについては、上部と中間部リーフスプリングの干渉の影響に加え、中間部リーフスプリングがひび割れたことにより、曲げ部の応力が増加して、応力腐食割れによるひび割れが生じた。


3.

対策
(1)

上部リーフスプリングと中間部リーフスプリングの先端部から曲げ部立ち上がりまでの寸法差が小さく、かつ、上部リーフスプリングレッグ部とスロット穴の間隔が小さい燃料集合体のうち、今後、再使用する予定のものについては、リーフスプリング曲げ部の外観検査を行い、干渉の有無を確認する。

(2) 今後製造するリーフスプリングについては、リーフスプリング先端部から曲げ部立ち上がりまでの寸法公差の見直しを行い、干渉が起こらないような設計とする。

 なお、当該燃料集合体は再使用しない燃料であり、予定通り新燃料と取り替える。

(通商産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−


リーフスプリングの損傷状況概要図
リーフスプリングの組立手順