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敦賀発電所1号機のタービングランド蒸気復水器伝熱管漏えいの原因と対策ならびに運転再開について(9−107) |
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このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。
敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、平成9年10月24日より制御棒の不具合に伴い発電を停止しており、給・復水系統についてはタービングランド蒸気復水器および復水脱塩装置の系統を用いて再循環を行っていたが、本年2月3日朝、タービングランド蒸気復水器のドレン量増加が認められたことから、再循環を中断し、タービングランド蒸気復水器伝熱管の漏えい検査を実施した。
その結果、2月4日午後、伝熱管1本に漏えいが認められたため、全伝熱管について検査することとした。
今回の事象による環境への放射能の影響はない。[平成10年2月4日発表済]
[調査結果] |
(1) |
漏えい管内面をファイバースコープにより観察した結果、管板より約2mのグランド蒸気入口側の位置に、長さ約23mm、幅約4mmの貫通孔が認められた。 |
(2) |
伝熱管全156本(既施栓7本除く)の渦電流探傷検査を実施した結果、グランド蒸気入口側の伝熱管10本(漏えい管含む)に、グランド蒸気入口付近の位置で管外面に施栓基準を超える減肉が認められた。 |
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[推定原因] |
グランド蒸気が流入する近傍の伝熱管において、湿分の多い蒸気により管外面が浸食され、減肉が徐々に進行し、伝熱管の漏えいに至ったものと推定された。 |
[対策] |
管外面に施栓基準を超える減肉が認められた伝熱管10本(漏えい管1本含む)については施栓することとした。また、当該機器の点検頻度や方法等について改善することとする。
なお、制御棒の不具合の対策としては、動作不良が発生した制御棒1体および同型の制御棒8体について、新しい従来型制御棒に取り替えるとともに、動作不良制御棒に隣接する燃料集合体4体は、健全性に問題はないが念のため取り替えており、現在、原子炉容器の復旧作業も終了している。
今後は、タービングランド蒸気復水器の伝熱管施栓・復旧作業を行い、明後日の2月8日0時頃に原子炉を起動し、翌9日0時頃に発電を再開する予定である。 |
(通商産業省によるINESの暫定評価尺度) |
基準1 |
基準2 |
基準3 |
評価レベル |
評価対象外 |
評価対象外 |
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<参考>
敦賀発電所1号機の制御棒動作不良の原因と対策について |
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敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、定格出力運転中の平成9年10月23日、制御棒73体のうちの1体が動作しないことが確認されたことから、点検調査のため、10月24日23時00分に発電停止した。
この事象による環境への放射能の影響はない。
当該制御棒(22−23)の外観点検の結果、制御棒ブレード4枚のうち1枚で膨らみ状の変形(3箇所)が発生し、燃料集合体と干渉していたことが確認された。
[原因] |
(1) |
制御棒ブレードに製造時の残留応力等により応力腐食割れが発生したことにより、炉水がブレード内に浸入した。 |
(2) |
ブレード内に浸入した炉水が中性子吸収材等と反応して生じた化合物が吸収材充てん孔入口部を閉塞した。その後、運転に伴う中性子照射によりヘリウムや水素等のガスが発生し、充てん孔内の圧力が上昇した。 |
(3) |
このため、連続する充てん孔間の部材(リガメント部)が破断し、膨らみ状の変形が発生したため、制御棒が燃料集合体と干渉し動作不良に至ったものと推定された。 |
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[対策] |
動作不良が発生した制御棒1体および同型の制御棒8体については、新しい従来型制御棒に取り替えるとともに、動作不良制御棒に隣接する燃料集合体4体は、健全性に問題はないが念のため取り替えた。[平成9年10月24日、11月7日、18日、12月3日、平成10年1月20日発表済] |
(通商産業省によるINESの暫定評価尺度) |
基準1 |
基準2 |
基準3 |
評価レベル |
− |
− |
1 |
1 |
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敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉)概略図
グランド蒸気復水器概略図
制御棒の概略図
制御棒外観状況図