[記者発表][平成9年度4月]−[25日13時30分記者発表] 原子力安全対策課
平成9年度原子力発電所の運転・建設計画について(9−13)

 安全協定に基づき、各施設設置者から連絡された平成9年度の運転・建設計画は、以下のとおりである。

1. 運転計画の概要(図−1参照)
 平成9年度県内原子力発電所(建設中の高速増殖原型炉もんじゅを除く)14基の平均の時間稼働率は約82%、設備利用率は約78%である。
*; 新型転換炉ふげん発電所は、平成9年4月15日より停止中。

2.

建設計画の概要
 平成9年度の高速増殖原型炉もんじゅの起動試験工程は、平成7年12月8日に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため未定である。
 なお、平成8・9年度設備点検は本年3月3日から12月までの予定で実施中である。

3.

実証試験の概要
 平成9年度の実証試験計画は、平成8年度から実施している「大飯発電所4号機の高燃焼度燃料の先行照射」である。

表−1 平成9年度実証試験計画
発電所名 試験項目 概要
大飯発電所
4号機
高燃焼度燃料8体の先行照射 高燃焼度燃料(55,000MWd/t)の実用化に先立ち照射する。(平成9年3月〜平成13年度)

4.

原子炉設置変更許可申請計画
 平成9年度の原子炉等規制法に基づく「原子炉設置変更許可申請」の計画は、敦賀発電所、大飯発電所および高浜発電所で次の内容が計画されている。

表−2 平成9年度原子炉設置変更許可申請
発電所名 申請概要
敦賀発電所
雑固体減容処理設備の設置
[プラズマ溶融による処理設備の設置]
2号炉の使用済燃料貯蔵設備の増強
[使用済燃料ラックの改造(リラッキング)による容量増強]
大飯発電所
3号炉および4号炉の使用済燃料貯蔵設備の増強
[予備ピットの施設整備による容量増強]
増強した使用済燃料貯蔵設備の1号炉および2号炉との共用化
高浜発電所
3号炉および4号炉へのMOX燃料の装荷
3号炉および4号炉の使用済燃料貯蔵設備の1号炉および2号炉との共用化

5.

主要設備の増・改造工事計画の概要(表−3参照)
(1) 日本原子力発電(株)
 敦賀発電所1号機においては、1号機の廃棄物処理設備の設置等工事を、敦賀2号機においては、放水口の消泡工事を継続して実施している。
 また、今庄町にモニタリングステーション1局を設置する工事を平成8年度より実施中である。
(2) 動力炉・核燃料開発事業団
 越前町にモニタリングステーション1局を設置する工事を平成8年度より実施中である。
(3) 関西電力(株)美浜、大飯、高浜発電所
 蒸気発生器取替工事については、大飯発電所2号機で平成9年2月から8月までの予定で実施されているが、この取替工事終了により県内で計画されている蒸気発生器取替工事は完了する。
 また、原子炉容器上部ふた取替工事は高浜発電所2号機で平成9年2月から5月までの予定で実施されている。
 この他、美浜発電所および高浜発電所での廃樹脂処理装置の設置等の工事や高浜発電所での特高開閉所の改造工事が継続して実施されている。

6.

燃料輸送計画の概要(表−4表−5参照)
(1) 新燃料集合体については、県内の10プラントにおいて、合計568体の輸送が計画されている(一部実施済)。
(2) 使用済燃料集合体については、美浜発電所3号機と高浜発電所1号機において、合計96体の輸送が計画されている。

7.

低レベル放射性固体廃棄物輸送計画の概要(表−6参照)
 高浜発電所において、合計3,360本の低レベル放射性固体廃棄物を日本原燃株式会社六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターへ輸送する計画である。

表−3 平成9年度主要設備の増・改造工事
(1) 日本原子力発電株式会社
工事件名 敦賀 工事概要
1号機 2号機
復水脱塩装置使用済
樹脂受タンク設置工事
使用済樹脂貯蔵タンクの増設に併せ、使用済樹脂の貯蔵方法を見直し、復水脱塩装置使用済樹脂受タンクを1基設置する。
放射性廃棄物処理施設
整備工事
1号機放射性廃棄物処理施設のうち、設備保守点検の合理化等を目的として、現在使用していない設備等を撤去する(〜H13)。
放水口消泡対策工事   放水口の恒久的消泡対策のため、現状の越流堰方式から、もぐり堰水中放流方式に変更する。
原子炉容器頂部温度
低減対策工事
  長期的な設備信頼性維持の観点から、炉心バイパス流量を増加し、原子炉容器頂部温度の低減を図る。
今庄モニタリングステーション
設置工事
今庄町にモニタリングステーションを1局設置する。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
工事計画あり 実施済
(2) 動力炉・核燃料開発事業団
工事件名 ふげん もんじゅ 工事概要
越前モニタリングステーション
設置工事
越前町にモニタリングステーションを1局設置する。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
(3) 関西電力株式会社
工事件名 美浜発電所 大飯発電所 高浜発電所 工事概要
1号機 2号機 3号機 1号機 2号機 3号機 4号機 1号機 2号機 3号機 4号機
蒸気発生器取替工事 蒸気発生器を、伝熱管損傷防止対策を施した最新型に取り替える。
原子炉容器上部ふた
取替工事
長期的な設備信頼性維持の観点から、管台材質等を改良したものに取り替える。
原子炉容器頂部温度
低減対策工事
長期的な設備信頼性維持の観点から、炉心バイパス流量を増加し、原子炉容器頂部温度の低減を図る。
充てんポンプ*1
取替工事
信頼性向上および保守性向上のため国産品に取り替える。
低圧タービンロータ
取替工事
一体型ロータに取り替え、応力腐食割れに対する信頼性向上を図る。
冷却材浄化流量の
増加工事
定期検査時の被ばく低減のため、一次系機器等の放射性クラッド除去量を増加する。
一次冷却材ポンプ
主フランジボルト取替工事
(2台)
(1台)
(2台)
(1台)
(2台)
(2台)
作業性向上・被ばく低減のため、スタッドボルトによる自動締緩式に取り替える。
全量復水処理建屋
設置工事

(当初より)

(当初より)

(当初より)

(当初より)

(当初より)

(当初より)

(当初より)
蒸気発生器伝熱管の腐食防止のため、復水全量を処理可能な装置を設置する。
廃樹脂処理装置
設置工事

(共用)

(共用)

(共用)
廃樹脂貯蔵タンクに貯蔵保管している使用済イオン交換樹脂から放射能を分離する固体処理装置を設置する。
雑固体処理装置
設置工事

(共用)

(共用)
雑固体廃棄物(金属、フィルター等の不燃物)を固型化処理する装置を設置する。
廃樹脂処理建屋
設置工事
(共用)
雑固体処理設備も収容:
第2固体廃棄物処理建屋

(共用)
廃樹脂処理装置(および雑固体処理設備)を収容する処理建屋を設置する。
洗浄排水処理装置
設置工事

(共用)

(当初より)
洗浄排水中の放射性物質の放出量を低減するため、ろ過装置を設置する。
特高開閉所の改造工事 電源系統信頼性向上のため、275kV設備を介さず500kV設備につなぎ換え、不要設備を撤去する。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
工事計画あり 実施済
*1; 高浜1号機、大飯1、2号機は、充てん/高圧注入ポンプ。
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表−4 平成9年度新燃料集合体輸送計画
発電所 輸送体数 輸送時期 備考
敦賀発電所1号機 80 第3四半期  
新型転換炉
ふげん発電所
18 第2四半期 MOX燃料
24 第3四半期  
14 第4四半期  
美浜発電所2号機 28 第3四半期  
美浜発電所3号機 24 第3四半期  
24 第3四半期  
大飯発電所2号機 48 第4四半期  
第4四半期  
大飯発電所3号機 40 第3四半期  
40 第3四半期  
大飯発電所4号機 40 第2四半期  
28 第2四半期  
高浜発電所1号機 44 平成9年4月17日 (搬入済み)
高浜発電所3号機 44 平成9年4月17日 (搬入済み)
高浜発電所4号機 28 第1四半期  
36 第3四半期  
*; 輸送体数、時期は変更することがある。
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表−5 平成9年度使用済燃料集合体輸送計画
発電所名 輸送体数 燃料種類 目的 輸送完了時期
美浜発電所3号機 48 ウラン燃料 再処理 第3四半期
高浜発電所1号機 48 ウラン燃料 再処理 第1四半期
*; 輸送体数、時期は変更することがある。
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表−6 平成9年度低レベル放射性固体廃棄物搬出計画
発電所名 輸送本数 輸送時期
高浜発電所 1,920 平成9年6月
1,440 平成9年10月
*; 輸送本数、時期は変更することがある。
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