[記者発表][平成9年度6月]−[3日10時40分記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の重水精製装置の循環ポンプ出口フランジ部からの重水漏えいの原因と対策について(9−23)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW)は、定格出力で運転中の平成9年4月14日、重水精製装置建屋の「スタックトリチウムモニタ放射能高」の警報が発信したため、重水精製装置および同装置建屋の換気系を手動停止した。
 調査の結果、重水精製装置の循環ポンプ出口フランジ部に重水の微小漏えいが認められたため、当該フランジの増し締め等漏えい拡大防止の措置を行った。
 今回の事象による周辺環境への放射能の影響はなかった。[平成9年4月15日発表済]

[調査結果]
 漏えいが認められた循環ポンプ出口フランジ部を含め同ポンプ周辺配管のフランジ部(5箇所)を分解点検した結果、同ポンプの出口および入口配管のフランジ部に使用していたOリングに、劣化(硬化)による損傷が認められた。
 当該ポンプは循環液(アルカリ溶液)に接するため、耐アルカリ仕様のOリングを使用することになっているが、Oリングの成分分析の結果、一般仕様のものを使用していたことが判明した。
 過去の点検記録等を調査した結果、他のアルカリ溶液と接する機器のOリング(6箇所)についても一般仕様のものが使用されている可能性があることが判明した。
 なお、フランジ本体には、漏れにつながるような異常は認められなかった。

[原因]
 重水漏れの原因は、前回の重水精製装置定期点検時の循環ポンプ分解点検において、当該フランジ部のOリングとして一般仕様のものが使用されたため、Oリングがアルカリ溶液により劣化損傷し、重水漏えいに至ったものと推定された。
 一般仕様のOリングが使用された原因は、Oリングを購入する際に適切な仕様を明確に指定していなかったため一般仕様のものが一部購入され、そのまま使用されたものと判明した。

[対策]
 今回点検した循環ポンプのフランジ部5箇所と、アルカリ溶液と接する他の6箇所について、耐アルカリ仕様のOリングに取り替えることとした。
 また、今回原因となった重水精製装置で使用されるOリング等消耗品の購入・使用については、これまで点検メーカの自主管理としていたが、今後の再発防止対策として、これらの消耗品について動燃事業団が直接管理を行うこととし、発注時の仕様の明記や納品時のチェックシートの運用、誤装着防止のための札管理等、品質管理の徹底を図ることとした。


設備概要
循環ポンプ外観図