[記者発表][平成9年度6月]−[4日15時資料配付] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の原子炉起動および運転再開について(9−27)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW)は、平成9年4月14日に発生した重水精製装置における重水漏えいに関する通報連絡が大幅に遅れたことから、内閣総理大臣より運転を停止した上で、情報連絡体制の改善を図るよう命令を受け、4月15日22時30分より出力降下操作を開始したところ、同日22時31分「湿分分離器水位高高」の信号によりタービンが自動停止し、引き続き原子炉自動停止した。なお、周辺環境への放射能の影響はなかった。

 6月3日までに、情報連絡体制の改善の報告、原子炉自動停止の原因究明および対策が完了し、本日科学技術庁から運転再開の最終的な了解を得たので、6月5日18時頃に原子炉を起動し、翌6日14時頃に発電を再開する予定である。


[参考]

<情報連絡体制の改善>
(1) 通報連絡に係る事故の事業所規則上の明確化
事故対策規程上の事故、故障の明確化
重水精製装置を含むことの明確化
(2) 通報連絡体制の強化
技術広報総括および技術広報担当の配置
通報連絡推進チームの新規編成
連絡責任者の休日、夜間の発電所駐在(当面)
(3) 通報連絡に係る教育の実施
(4) 通報連絡訓練の実施

[平成9年6月3日発表済]


<原子炉自動停止の原因・対策>
 原子炉が自動停止した原因は、出力降下による湿分分離器内圧力の低下に伴い、湿分分離器ドレン配管内のドレン水が減圧沸騰して、湿分分離器水位高高検出用計装配管に流入し、レベルスイッチを動作させたためと推定された。
 このため、タービン制御装置トリップ回路のタイマー設定時間を10秒から30秒に変更し、通常の停止操作時における出力降下の際の注意事項を手順書に明記する対策を行うとともに、今後、設備方策を検討し、次回の定期検査時に改造を行うこととした。[平成9年6月2日発表済]
 タービン制御装置トリップ回路のタイマー設定時間の変更および原子炉停止手順書への注意事項明記の対策は6月3日に完了した。
動力炉・核燃料開発事業団による
国際評価尺度(INES)の暫定評価
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<重水漏えいの原因・対策>
 重水精製装置の循環ポンプ出口フランジ部からの重水漏えいの原因は、前回の重水精製装置定期点検時に、当該フランジ部のOリングとして耐アルカリ仕様ではなく一般仕様のものが使用されたため、Oリングがアルカリ溶液により劣化損傷し、重水漏えいに至ったものと推定された。
 一般仕様のOリングが使用された原因は、Oリングを購入する際に適切な仕様を明確に指定していなかったため一般仕様のものが一部購入され、そのまま使用されたものと判明した。
 このため、アルカリ溶液と接する11箇所のOリングを耐アルカリ仕様のものに取り替える(6月中旬終了予定)他、重水精製装置で使用されるOリング等消耗品の購入・使用については、これまで点検メーカの自主管理としていたが、今後の再発防止対策として、これらの消耗品について動燃事業団が直接管理を行うこととし、発注時の仕様の明記や納品時のチェックシートの運用、誤装着防止のための札管理等、品質管理の徹底を図ることとした。
 また、重水精製施設の運用管理の強化を図ることとし、原子炉施設と同等の管理とするよう所内規則を整備、充実することや、運転監視の強化[夜間時の運転員の巡視点検の追加、中央制御室からの監視強化(ITVの更新等)]を図ることとした。
 さらに、過去の重水漏えい事象を調査し、次の事象発生時には安全協定に基づく異常事象として直ちに通報することとした。
重水精製装置の排気筒モニタの警報が発信し、同装置や換気系を停止する措置を行ったとき。
重水精製装置運転中に、エリアモニタの警報が発信し、同装置の運転を停止したとき。
[平成9年6月3日発表済]