[記者発表][平成9年度6月]−[16日14時30分記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所1・2号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更および雑固体減容処理設備設置計画と大飯発電所3・4号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画に係る事前了解願いについて(9−31)

 本日、日本原子力発電株式会社から、敦賀発電所1・2号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更および雑固体減容処理設備設置計画、関西電力株式会社から、大飯発電所3・4号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画について、原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書に基づき、事前了解願いが提出された。
 使用済燃料については、今後、「使用済燃料貯蔵対策検討会」において、敷地外での貯蔵について具体的に検討を行い、2010年頃までに中間貯蔵施設を建設し、発電所敷地外に搬出されることが必要である。
 県としては、これら計画について今後十分説明を受け、国や事業者の取組みを注意深く見守りながら、県議会での議論や立地市町の意見も十分踏まえ、安全の確保を最優先に慎重に対処していく。


<事前了解願いの概要>

1. 日本原子力発電株式会社 敦賀発電所
(1) 使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画
 使用済燃料管理に万全を期すため、2号機原子炉建屋内の使用済燃料ピットの1号および2号機の使用済燃料ラックを、稠密化を図った新ラックに取り替える。
(2) 雑固体減容処理設備設置計画
 1号機および2号機共用設備として、雑固体廃棄物等を減容処理する雑固体減容処理設備を新たに建屋を建設し設置する。

2.

関西電力株式会社 大飯発電所
(1) 使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画
 使用済燃料管理に万全を期すため、3号機および4号機の原子炉補助建屋内に建設当初から確保している予備ピットにライニング、ラック等を据え付けることにより、使用済燃料貯蔵設備(Bピット)として使用可能とする。



(別紙)

1. 日本原子力発電株式会社 敦賀発電所
(1) 使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の概要
a. 変更する理由
 敦賀発電所については、使用済燃料の受け入れが予定されている日本原燃(株)再処理工場への搬出を考慮しても、2000年過ぎに同発電所使用済燃料貯蔵設備の運用が厳しくなることが予測される。
 このため、2号機原子炉建屋内の1号および2号機使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力を増強し、使用済燃料管理に万全を期すこととする。
b. 変更位置
 敦賀発電所2号機原子炉建屋内使用済燃料ピット(第1図第2図第3図参照)
c. 構造および設備
 敦賀発電所2号機原子炉建屋内使用済燃料ピットの1号および2号機の使用済燃料ラックを、ボロンを添加したステンレス鋼を使用し、稠密化を図った新ラックに取替える。
 これにより、使用済燃料貯蔵能力は、敦賀発電所1号機で790体(全炉心燃料の約260%相当分)から1217体(全炉心燃料の約400%相当分)に、2号機で987体(全炉心燃料の約510%相当分)から1734体(全炉心燃料の約900%相当分)となる。
d. 工事計画
使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更工事 平成10年10月頃〜平成12年9月頃
(工事はブロック毎新ラックに取替え、取替え後は順次供用を開始する。) 

(2)

雑固体減容処理設備設置計画の概要
a. 変更する理由
 現在、1号および2号機から発生する固体廃棄物は、ドラム缶または鉄箱に封入し、1号および2号機共用の固体廃棄物貯蔵庫に貯蔵保管している。このうち、均一固化体については、計画に基づき日本原燃(株)六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターに搬出しているが、今後の固体廃棄物の発生量を考慮すると、将来的に固体廃棄物貯蔵庫の貯蔵余裕が少なくなる。また、1号機の復水脱塩装置の使用済樹脂については、現在建設中の使用済樹脂受けタンクに貯蔵することとしているが、タンク貯蔵量を考慮すると計画的に処理する必要がある。これらのことから、雑固体廃棄物等を減容処理して貯蔵能力を確保するとともに、将来的な雑固体廃棄物を対象とした埋設事業に対応するため、1号および2号機共用の雑固体減容処理設備を設置する。
b. 設置位置
 2号機タービン建屋の東側に雑固体処理建屋を新設し、雑固体減容処理設備を同建屋内に設置する。(第1図第4図第5図参照)
c. 構造および設備
 雑固体廃棄物等を受け入れ後開缶・分別し、プラズマ溶融炉にて溶融・燃焼した後、充てん固化装置にてモルタル充てん固化する設備である。排ガスについては、同建屋内に排ガス処理装置を設置し、処理する。また、本設備から発生する廃液は、廃液モニタタンクを設置し、処理する。
d. 工事計画
雑固体処理建屋設置工事 平成10年10月頃〜平成12年12月頃
雑固体減容処理設備設置工事 平成11年1月頃〜平成13年3月頃

2.

関西電力株式会社 大飯発電所
(1) 使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の概要
a. 変更する理由
 大飯発電所においては、1、2号機の使用済燃料ピット容量が小さいことから3号機および4号機の使用済燃料ピットを1、2号機と共用化しているが、本対策を行っても、今後平成14年度には使用済燃料貯蔵設備の運用が厳しくなることが予想される。
 このため、大飯発電所3号機および4号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力を増やし使用済燃料管理に万全を期すこととする。
b. 変更位置
 大飯発電所3号機および4号機原子炉補助建屋内使用済燃料予備ピット(第6図第7図第8図参照)
c. 構造および設備
 大飯発電所3号機および4号機は建設当初から現在使用中の使用済燃料貯蔵設備(Aピット)の横に予備ピットを確保している。
 この予備ピットにライニング、ラック等を据え付けることにより使用済燃料貯蔵設備(Bピット)として使用可能とする。
 Bピットの使用により3号機および4号機それぞれの貯蔵能力は、974体(全炉心燃料の約500%相当分)から2129体(全炉心燃料の約1100%相当分)となる。
 なお、このBピットのラック材料には、ボロンを添加したステレンス鋼を使用する。(このBピットについては、Aピットと同様に1、2号機と共用化する。)
d. 工事計画
大飯発電所3号機 平成11年10月頃〜平成13年9月頃
大飯発電所4号機 平成12年4月頃〜平成14年3月頃