[記者発表][平成9年度7月]−[11日10時30分記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所2号機の原子炉起動と調整運転開始について(第8回定期検査)(9−34)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力116.0万kW)は、本年4月18日から第8回定期検査を実施していたが、本日7月11日夜に原子炉を起動し、翌12日午前に臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、7月中旬(7月16〜18日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、8月中旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

タービンバランシング作業(調整運転開始前にタービンの回転数を上昇させて振動を測定し、振動が大きい場合には、タービンの車軸におもりを取り付け、振動が小さくなるように調整する作業)の実施の有無により、調整運転の開始が前後する。


1. 燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数193体のうち、72体を新燃料集合体(全て高燃焼度燃料集合体)を取り替えた。

2.

蒸気発生器伝熱管の渦電流探傷検査結果
 蒸気発生器伝熱管全数(13,526本)について、渦電流探傷検査を実施した結果、異常は認められなかった。

3.

主要工事等
(1) 原子炉容器頂部温度低減対策工事(図−1参照)
 原子炉容器上部ふた(管台貫通部)の長期信頼性向上の観点から、原子炉容器内に流入した1次冷却材を頂部に導くスプレイノズルの内径を大きくすることにより、原子炉容器頂部への1次冷却材の流入量を増加させ、頂部温度の低減を図った。
(2) 蒸気発生器伝熱管抜管調査工事(図−2参照)
 C−蒸気発生器の伝熱管2本について、インコネルTT600材製伝熱管の健全性確認調査のため抜管した。なお、抜管した伝熱管については、高温、低温の両側を施栓した。
(3) 原子炉容器の供用期間中検査(図−3参照)
 原子炉容器の供用期間中検査(10年計画)に基づき、原子炉容器胴部の溶接部等について、超音波探傷検査により健全性を確認した。
(4) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−4参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査(10年に1回)として、4台あるポンプのうち、Aポンプの分解点検を行い、ポンプケーシング等耐圧部の健全性を確認した。
(5) 放水口消泡対策工事(図−5参照)
 放水口の恒久的消泡対策のため、放水口を現状の越流堰方式からもぐり堰水中放流方式に変更した。
(6) アクシデントマネジメント対策工事(図−6参照)
 アクシデントマネジメント対策として、ECCS再循環モード(*1)への移行に失敗した場合、格納容器スプレイポンプを用いた再循環を行うことにより、長期的炉心冷却を継続し、炉心損傷を防止するため、余熱除去系と格納容器スプレイ系を接続する配管を設置した。
*1; ECCS再循環モード
 1次冷却材喪失事故が発生し、ECCS系(高圧注入系、低圧注入系)が起動した場合、燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入する。さらに、燃料取替用水タンクの水位が低下すると、漏えいして格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプにより原子炉に注入する再循環モードに移行する。

4.

次回定期検査の予定
 平成10年 秋頃