[記者発表][平成9年度7月]−[11日10時30分記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所2号機の原子炉起動と調整運転開始について(第13回定期検査)(9−35)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、平成9年2月3日から第13回定期検査を実施していたが、7月14日夕方に原子炉を起動し、翌15日早朝臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、7月下旬(7月20〜22日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、8月中旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

タービンバランシング作業(調整運転開始前にタービンの回転数を上昇させて振動を測定し、振動が大きい場合には、タービンの車軸におもりを取り付け、振動が小さくなるように調整する作業)等の実施の有無により、調整運転の開始が前後する。


1. 燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数193体のうち、81体(うち72体が新燃料集合体で、新燃料は全て高燃焼度燃料集合体)を取り替えた。

2.

制御棒駆動装置ハウジング等キャノピーシール部の渦電流探傷検査結果(図−1参照)
 制御棒駆動装置ハウジング等のキャノピーシール部全数(上部53ヶ所、中間部61ヶ所、下部78ヶ所、合計192ヶ所)について、渦電流探傷検査を実施した結果、下部9ヶ所に信号指示が認められ、原因は、内面からの応力腐食割れと推定された。
 対策として、信号指示の認められた下部9ヶ所について、信号指示部位を切削し補修溶接した上で、キャノピーシール全周の肉盛溶接を実施した。

3.

主要工事等
(1) 蒸気発生器取替工事(添付1参照)
 社会的信頼性および保守性の向上を図るため、既設の蒸気発生器全数(4基)を撤去し、新型の蒸気発生器に取り替えた。
(2) 低圧タービンロータ取替工事(図−2参照)
 第1、2、3低圧タービンロータについて、耐応力腐食割れ性の向上等、信頼性確保の観点から、動翼円板をロータ車軸に焼嵌(やきば)めている『焼嵌め型ロータ』から、円板と車軸が一体化された『全一体型ロータ』に取替えた。

4.

次回定期検査の予定
 平成10年 秋頃



(添付1)

大飯発電所2号機蒸気発生器取替工事の概要

1. 概要
 大飯発電所2号機の蒸気発生器取替工事は、平成7年8月から2号機用の蒸気発生器保管庫設置工事等の準備工事を進めていたが、平成9年2月3日からの第13回定期検査開始をもって蒸気発生器取替(4基全数)の本格工事を開始した。
 平成9年3月26日〜4月5日に旧蒸気発生器(4基)の搬出を行い、4月3日〜17日に新蒸気発生器の原子炉格納容器内への搬入・据付を行い、6月30日の1次冷却材管耐圧・漏えい検査をもって実工事を終了した。
 また、蒸気発生器取替工事としての総被ばく線量当量は約1.9人・Sv(平成9年6月30日現在)、放射性廃棄物は、旧蒸気発生器4基、コンクリートブロックが保管容器で約562m3のほか、切断した配管や干渉物等ドラム缶換算で約1,270本(平成9年6月30日現在)が発生しており、2号機用の蒸気発生器保管庫および既設の廃棄物庫に保管している。
 今後は、8月中旬の蒸気発生器性能検査をもって取替工事全工程を終了する予定である。

2.

蒸気発生器取替工事計画経緯
関西電力(株)は、蒸気発生器取替方針を決定し、県および立地町に報告 H5.1.21
関西電力(株)は、県および大飯町に蒸気発生器取替計画を申し入れ(事前了解願い) H5.3.1
県および大飯町は、蒸気発生器取替計画にかかる原子炉設置変更許可申請を行うことを了承 H5.4.19
関西電力(株)は通商産業省に原子炉設置変更許可を申請 H5.4.19
通商産業省は、関西電力(株)に原子炉設置変更許可 H6.3.9
関西電力(株)は、県および大飯町に事前了解変更願い(コンクリート廃棄物の処分計画にかかる変更) H6.4.15
県および大飯町は、蒸気発生器取替計画について安全協定に基づく事前了解 H6.6.3
蒸気発生器保管庫(2号機用)設置工事開始 H7.11.1
蒸気発生器保管庫(2号機用)設置工事終了 H8.11.25
蒸気発生器取替本工事開始 H9.2.3
蒸気発生器取替実工事終了 H9.6.30
蒸気発生器取替工事全工程完了(予定) H9.8中旬

3.

蒸気発生器取替工事実施状況
項目 作業実績
主蒸気・主給水管切断 H9.2.19〜H9.3.15
蒸気発生器室仮開口設置 H9.3.3〜H9.3.22
原子炉格納容器内クレーン改造他 H9.3.18〜H9.3.25
1次冷却材管切断 H9.3.21〜H9.4.7
旧蒸気発生器搬出 A−SG H9.3.26〜H9.3.28
B−SG H9.3.29〜H9.3.31
C−SG H9.4.3〜H9.4.5
D−SG H9.4.1〜H9.4.3
新蒸気発生器海上輸送 A−SG H9.3.31〜H9.4.3
B−SG H9.4.3〜H9.4.7
C−SG H9.4.10〜H9.4.13
D−SG H9.4.7〜H9.4.10
新蒸気発生器
搬入・据付
水切り A−SG H9.4.3
B−SG H9.4.7
C−SG H9.4.13
D−SG H9.4.10
搬入・据付 A−SG H9.4.6〜H9.4.9
B−SG H9.4.9〜H9.4.11
C−SG H9.4.15〜H9.4.17
D−SG H9.4.12〜H9.4.14
1次冷却材管復旧 H9.4.9〜H9.5.12
主蒸気・主給水管復旧 H9.4.16〜H9.5.28
原子炉格納容器内クレーン復旧他 H9.4.17〜H9.4.21
蒸気発生器室仮開口復旧 H9.4.22〜H9.5.12
1次冷却材管耐圧・漏えい検査 H9.6.30
蒸気発生器性能検査 H9.8中旬(予定)

4.

蒸気発生器取替計画値(廃棄物発生量と被ばく線量)
項目 計画
(H9.1.31時点)
実績
(H9.6.30時点)
取替工事(実工事)期間 H9.2.3〜H9.6下旬 H9.2.3〜H9.6.30
148日間
放射性
廃棄物
発生量
廃棄物庫保管 約641本 約393本
蒸気発生器保管庫
(2号機用)保管
SG4基
約877本(ドラム缶換算)
約562m3(コンクリート保管容器)
SG4基
約877本(ドラム缶換算)
約562m3(コンクリート保管容器)
合計 SG4基
約1,518本(ドラム缶換算)
約562m3(コンクリート保管容器)
SG4基
約1,270本(ドラム缶換算)
約562m3(コンクリート保管容器)
総被ばく線量当量 約2.5人・Sv 約1.9人・Sv
個人最大
線量当量
期間 25mSv(管理値) 17.54mSv
2.5mSv(管理値) 2.33mSv
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