[記者発表][平成9年度10月]−[17日14時記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所1号機の原子炉起動について(9−64)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、定格出力運転中の本年8月13日と10月2日に、制御棒駆動水圧系水圧制御ユニット(HCU 全制御棒73台)にあるスクラム弁(全制御棒×2組:全146台)で、ダイヤフラムにき裂が発生し、弁駆動用の空気が漏えいしたため、定格出力運転を継続しつつ、当該水圧制御ユニットを隔離し、スクラム入口弁および出口弁のダイヤフラムを新品と取り替えた。
 詳細調査の結果、ダイヤフラムにき裂が生じた原因は、ダイヤフラムの素材と第20〜23回定期検査でダイヤフラムを取替えた際に塗布したシール材の影響と推定された。
 以上のことから、今後の運転に万全を期すため原子炉を手動停止し、同様の素材を使用しているダイヤフラム(全84台)について新品と取り替えることとし、10月7日16時から出力降下を開始し、8日4時に原子炉を手動停止した。なお、この事象による環境への放射能の影響はない。[平成9年10月7日記者発表済]

 ダイヤフラムの取替作業が終了し、漏えい試験等により健全性が確認されたことから、本日18時頃に原子炉を起動し、明日18日18時頃に発電を再開する予定である。

[溶接部の健全性評価結果]
 (株)日立製作所および(株)日立エンジニアリングサービスが施工した溶接部のうち、溶接後熱処理の温度記録に疑義のある11箇所について、この停止期間中に、金属組織観察、残留応力測定および硬さ測定を行い、健全性の評価を行った。その結果、11箇所全てについて、適切な焼鈍によって得られるべき溶接部の健全性が確保されていることが国により確認された。



(参考)

制御棒駆動水圧系水圧制御ユニット(HCU);
 敦賀1号機の場合、制御棒が73本あるが、制御棒駆動機構1本につき1台の水圧制御ユニットが設置されており、制御棒の挿入、引き抜き動作やスクラム動作に必要な弁類の操作を実施する。



制御棒駆動水圧系系統図
制御棒駆動水圧系スクラム弁構造図
ダイヤフラム損傷図(H9.8.13)
敦賀発電所1号機温度記録に疑義のある溶接箇所