[記者発表][平成9年度10月]−[27日15時30分発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の圧力管からの漏えいについて(原因と対策について)(9−69)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW)は、8月7日から第14回定期検査中であり、圧力管供用期間中検査のため、燃料交換機を用いて圧力管検査装置を圧力管内に装填した後、燃料交換機と圧力管との切り離し操作を行っていたところ、16日15時25分頃「燃料交換機スナウト リーク大」の警報が発生し、モニタテレビにより圧力管から原子炉冷却材が漏えいしているのが確認された。直ちに燃料交換機と圧力管との結合操作を行い、漏えいは停止した。
 なお、この事象による周辺環境への放射能の影響はなく、また今回の作業は遠隔操作のため従事者の被ばくはない。
 燃料交換機の調査により、検査装置が燃料交換機内にあることが判明した。このことから、今回検査装置を圧力管内に挿入したが、圧力管内に正常に装着されず、燃料交換機グラブ(継ぎ手)機構を下降させた際、検査装置が同時に下降した。その状態で燃料交換機と圧力管との切り離しを行ったため、圧力管から原子炉冷却材が漏えいしたものと推定された。
 なお漏えいした圧力管については、シールプラグを取り付け、漏えいのないことを確認している。[平成9年10月16、17日記者発表済]

 その後、燃料交換機から圧力管検査装置を取り出すための操作を行った際、検査装置のラッチ機構部の動作が固く、正常に動作しなかった。検査装置を燃料交換機内から取り出し、外観点検、ラッチ機構部の動作試験を行ったが、特に異常はなかった。この検査装置は、事象発生前までに圧力管7体の検査を正常に終了し、装置全体の洗浄・点検作業を行った後、最初に今回の圧力管に使用していた。
 今回の検査装置取り扱い時の燃料交換機の動作状況について、仮設の記録計を調査したところ、通常は燃料交換機上部の排水作業を行った後、検査装置のボールラッチ部が圧力管側に押し出され、燃料交換機グラブ機構と検査装置ラッチ部とが正常な結合状態となるべきところ、今回の結合操作時には正常な結合状態となっていなかったことが判明した。また、操作手順等の調査で、この結合操作後におけるグラブ状態の確認や検査装置装着後における圧力管からの漏えいの有無の確認が不十分な状態で、燃料交換機を圧力管から切り離したため、漏えいに至ったことが判明した。
 検査装置が結合操作時に正常な結合状態にならず、圧力管に正常に装着できなかった原因は、装置全体の洗浄作業または燃料交換機内での取り扱いの際、検査装置ラッチ機構部(注1)の隙間にクラッド等の微小な異物が混入し、ラッチ機構部の動作を阻害したため、ボールラッチ部が圧力管側に押し出されなかったことが原因と推定された。

 対策として、検査装置のラッチ機構部へのクラッド浸入を防止するため、
(1) 装置洗浄時には、装置のラッチ部等をビニールで保護するなど作業改善を行うとともに、点検後再使用する際にはラッチ機構部の動作確認を行うこと。
(2) 燃料交換機内での取扱い時には復水を供給し、交換機側から炉心側への流れをつくることとした。また、検査装置の操作手順について、圧力管への正常な装着を確実に確認するよう、確認項目を明確に手順書に記載することとした。

 なお、当該検査装置のラッチ機構部は動作確認試験で正常に動作することを確認しているが、念のため、予備の検査装置を使用して検査を再開する予定である。

(注1)
検査装置ラッチ機構部 圧力管との脱装着を行うボールラッチを動作させる機能、燃料交換機側グラブとつかみ合う機能を有する。



(参考)

科学技術庁による
国際原子力評価尺度の暫定評価


原子炉全体図(立断面)
圧力管検査作業操作工程
圧力管モニタリング装置のシールプラグ装置