[記者発表][平成9年度11月]−[6日14時30分記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の定期検査状況について(局部出力検出装置検出器集合体交換時の不具合の原因と対策)(9−74)

 このことについて、動力炉核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW)は、平成9年8月7日から第14回定期検査を実施しているが、局部出力検出装置検出器集合体(LPM;全16体)8体の交換作業を行っていたところ、2体について新しいLPMが挿入できない事象が発生した。
 このため、新旧LPMを確認したところ、旧LPM1体の先端部(プランジャ部)が脱落していた。また、カランドリアタンク内を調査したところ、カランドリアタンク下管板に設置されている当該LPM2箇所の円筒形ガイド部内で、脱落したプランジャ部が発見された。
 脱落したプランジャ部を回収し調査した結果、1体は平成4年に装荷し今回の定期検査で取り外した旧LPMのもの、他の1体は昭和62年に装荷し平成4年まで使用していたLPMから脱落したものであることが分かった。[平成9年9月2日、10日、11日、10月7日発表済]

[調査結果]
 脱落したプランジャ部は、LPM本体にねじ込んだ後、4ヶ所をポンチ止めしネジが緩まない構造としているが、回収された当該品のネジ部に損傷はなく、ポンチ止めの痕跡も残っていることが確認された。
 脱落の原因調査として、LPM工場製作時の管理状況を調査するとともに、運搬等を含めた取り扱い、カランドリアタンクへの据え付け、さらには運転中LPMに作用している重水の流れ等の影響について、工場での再現試験等を行った。
 その結果、LPM製作時はプランジャ部を締め付け、ポンチ止めの後、緩まないことを確認する手順となってはいたものの、これらの記録は残されていなかった。また、工場の再現試験で、LPM取り扱い時を想定してプランジャ部に外力を付加した場合、またLPMをカランドリアタンクへ据え付ける際の防振板やガイド部で想定される衝撃的な荷重を付加させた場合、プランジャ接続部のポンチ止めによる廻り止め効果が低減し、締め付け力が低下する可能性があることが分かった。

[推定原因]
 プランジャ部が脱落した原因は、
当該プランジャ部を組立てる際の締め付け力やポンチ止めが不十分であった可能性があること
LPM取り扱いの際に外力が作用した可能性があること
LPMをカランドリアタンクへ据え付ける際に外力が作用した可能性があること
これらの要因が重なりプランジャ部の締め付け力が低下し、運転中のわずかな振動によりネジ部の緩みが進行し、脱落したものと推定された。
 なお、今回LPMが挿入できなかった原因は、カランドリアタンク下管板のガイド部内に脱落したプランジャ部があったためであるが、平成4年取り替え時に1体のガイド部内に脱落したプランジャ部があったが、LPM全体が細長いことからガイド部から外れて設置されていたものと推定された。

[対策]
 プランジャ部脱落防止のため、プランジャ部の廻り止め効果が確実に機能するよう、これまでのポンチ止め方式からピン差込と溶接による方式に変更するとともに、LPM製作段階において廻り止めの施工記録を残す等品質管理の向上に努めることとした。なお、この廻り止め方式の変更は平成5年度以降のLPM取り替え品から採用しており、今回3体を追加して取り替えることでLPM全16体がこの方式に変更された。
 また、今後のLPM交換作業にあたっては、旧品のプランジャ部が脱落していないことを確認することとした。


LPM炉内挿入状態
局部出力検出装置検出器集合体炉心据付位置図
脱落したプランジャ部の発見状況
プランジャ部のポンチ止、ピン止め施工状況図