[記者発表][平成9年度12月]−[3日14時記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所1号機の動作不良制御棒の点検調査状況について(9−86)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、定格出力運転中の平成9年10月23日、制御棒駆動系の定期試験において、制御棒73本のうちの1本(No.22−23)が動作しないことが確認されたことから、念のため、当該制御棒や制御棒駆動系の点検調査を行うこととし、10月25日6時00分に原子炉手動停止した。なお、この事象による環境への放射能の影響はなかった。[平成9年10月24日発表済]

[点検調査状況]
(1) 当該制御棒(No.22−23)の点検調査
 炉内にて、当該制御棒を水中カメラにより観察した結果、制御棒ブレード4枚のうち1枚で膨らみ状の変形(3箇所)があり、燃料集合体と干渉していることが確認されたほか、ブレード上部に微小な線状模様が認められた。[11月7日発表済]
 干渉していた燃料集合体の取り出し後、当該制御棒を使用済燃料プールに移動し、制御棒に付着していたクラッドを除去し、水中カメラにて詳細に外観観察した結果、膨らみ状の変形の他に、4枚のブレード表面に143箇所の線状・点状模様(最大長さ245mm)および線状模様に沿った11箇所の微小な膨れが認められた。
 また、制御棒と干渉していた燃料集合体2体について外観観察した結果、それぞれチャンネルボックス表面に制御棒との接触痕および微小な凹みが認められたが、燃料シッピング検査(燃料の漏えい検査)の結果、燃料集合体の健全性には問題のないことが確認された。
(2) 類似制御棒(タイプ2)の点検調査
 炉内に装荷していた他の類似制御棒8体を水中カメラにて外観観察したところ、うち1体(No.30−15)に線状・点状模様(17箇所)が確認され、4箇所の線状模様から気泡が発生しているのが確認された。[11月18日発表済]
 さらにNo.30−15制御棒の線状模様等が認められたブレード面について、付着していたクラッドを除去し、再度水中カメラにて詳細に外観観察した結果、24箇所の線状模様(最大長さ19mm)および線状模様に沿った10箇所の微小な膨れが認められた。
 なお、使用済の類似制御棒10体についても外観観察した結果、変形や線状模様等は認められなかった。
(3) 今後の調査
 今後は、干渉していた制御棒(No.22−23)の膨らみ状の変形部等を切断、照射後試験施設に搬出し、詳細原因調査を実施する予定である。


制御棒(タイプ2)構造図
制御棒22−23の外観点検結果(膨らみ状変形状況:3箇所)
制御棒22−23の外観点検結果(1)
制御棒22−23の外観点検結果(2)
制御棒30−15の点検結果
チャンネルボックス外観観察スケッチ