[記者発表][平成9年度12月]−[10日15時資料配布] 原子力安全対策課
高速増殖原型炉もんじゅの平成8・9年度設備点検の終了について(9−89)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 高速増殖原型炉もんじゅ(高速増殖原型炉;定格出力28.0万kW)は、平成7年12月8日に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため停止しているが、設備・機器の保安確保のため、平成9年3月3日より実施してきた平成8・9年度設備点検は、当初の計画通り、明日12月11日に終了する予定である。(平成9年2月28日発表済)

 今回の設備点検では、毎年実施している安全保護系計器等の法定点検、1次および2次主冷却系主循環ポンプの点検、ディーゼル発電機設備の分解点検等に加え、長期的な機器の点検計画に準じ、原子炉容器上部しゃへいプラグの分解点検等を実施した。
 また、設備保全の観点から、制御用圧縮空気設備の防錆対策工事や送受電しゃ断器保護回路の変更工事等を実施した。さらに、もんじゅ安全総点検の一環として、1次主冷却系温度計と炉外燃料貯蔵設備系温度計の健全性を確認した結果、1次主冷却系温度計1本の延長管に曲がりが確認されたため交換したが、他の温度計およびさや管内面には異常のないことを確認した。

1. 設備点検の結果
設備 点検内容
計器の法定点検 試験炉規則に基づき、安全保護系や放射線モニタ関係の計器類について、法定の点検校正を行い異常のないことを確認した。
原子炉構造設備 原子炉容器上部のしゃへいプラグの分解点検として、エラストマシールの交換、旋回機構・油圧機構等の点検を行い、異常のないことを確認した。併せてフリーズシールヒータ全数(80本)を保守性向上の観点から端子接続ケーブル1体型に交換した。(図1参照)
1次主冷却系設備 1次主循環ポンプ(B)の軸封部のメカニカルシール分解点検等を行い、異常のないことを確認した。
2次主冷却系設備 2次主循環ポンプ(A、B)のメカニカルシール分解点検、主モータ分解点検、補助冷却設備の空気冷却器(A)、空気冷却器用送風機(A)の開放点検等を行い、異常のないことを確認した。
1次アルゴンガス系設備 圧縮機の分解点検等を行い、異常のないことを確認した。
原子炉補機冷却水系設備 熱交換器の開放点検等を行い、異常のないことを確認した。
原子炉補機冷却海水系設備 海水ポンプ(B、C2、C3)の分解点検、ストレーナ開放点検等を行い、異常のないことを確認した。
機器冷却系設備 機器冷却系冷凍機(B、C)、機器冷却系冷却ポンプ(A)分解点検等を行い、冷却ポンプ(A)のインペラ等に摩耗痕が認められたため交換した。念のため、冷却ポンプ(B)も今後点検する。
制御用圧縮空気設備 空気圧縮機の分解点検、空気除湿装置再生空気冷却器の開放点検等を行い、異常のないことを確認した。
放射性廃棄物処理設備 気体廃棄物処理系廃ガス圧縮機、液体廃棄物処理系ポンプ等の分解点検を行い、異常のないことを確認した。ただし、固体廃棄物処理系プラスチ固化装置の一部モータで、軸受油の劣化等により異音が生じていたため、軸受を新品と交換した。
換気空調設備 中央制御室浄化フィルタユニットの開放点検、蒸気発生器(A、B)排気、給気ファンの分解点検等を行い、異常のないことを確認した。
ディーゼル発電機設備 ディーゼル発電機(A、B、C)の分解点検、機関冷却器の開放点検等を行い、異常のないことを確認した。

2.

設備保全等の工事結果
(1) 制御用圧縮空気設備の防錆対策工事(図2参照)
 昨年の設備点検期間中に発生した制御用圧縮空気設備停止の対策工事として、配管内に発生する凝縮水を低減させるため、ドレンラインの追加設置および配管のルート及び材質を一部変更する等の防錆対策工事を行った。(平成8年8月2日発表済)
(2) 送受電しゃ断器保護回路の変更工事(図3参照)
 本年1月に発生した特高開閉所設備のしゃ断器動作不良の対策として、しゃ断器保護回路に使用する信号を正規の圧力スイッチからの信号に変更工事した。(平成9年1月31日発表済)
(3) 空調用冷水設備の代替フロン化のための設備交換工事(図4参照)
 環境対策(オゾン層保護)のため冷凍機の冷媒として使用しているフロンを代替フロンに変更するため、空調用冷水設備の冷凍機(計4台)のうち2台の一部機器を交換した。残り2台は、現在工事を実施しており、来年春頃に完了する予定である。
(4) 1次系オーバーフロータンク点検用足場の設置工事
 1次系オーバーフロータンク室内での弁等の設備点検における作業性向上のため、点検用足場を設置した。
(5) 野外モニタの耐雷対策工事(追加工事)(図5参照)
 本年1月に野外モニタへの落雷の影響により放射線モニタ指示値が上昇したことの対策として、光ファイバーケーブル設置方法の変更、分電盤への保安器増設等の改善を実施した。(平成9年2月6日発表済)
 なお、平成9年度中に計画している格納容器凝縮水低減対策工事等の設備保全工事については、順次実施している。

3.

もんじゅ安全総点検の一環として行った点検結果
(1) 1次主冷却系温度計の健全性確認(図6参照)
 1次主冷却系の温度計(13本/ループ;計39本)について、内面目視点検と超音波探傷検査を実施した。
 その結果、1次系Aループの原子炉容器出口ナトリウム温度計の一本の取付け延長管に曲がりが認められた。延長管の曲がりによる温度計やさや管内面観察では異常はなく強度評価においても問題ないことが確認されたが、念のため、取付け延長管の交換を行った。
 その他の38本については、異常がないことを確認した。
(2) 炉外燃料貯蔵槽冷却系温度計の健全性確認(図7参照)
 炉外燃料貯蔵槽冷却系温度計16本について、内面目視点検と配管との取付溶接部の液体浸透探傷検査を実施した結果、異常のないことを確認した。


平成8・9年度設備点検実績工程